2018年5月18日(金)
中国の“偽ドラえもん” 商標登録は無効
CHINA COURT PROTECTS TRADEMARK
英語タイトルのCHINA COURT PROTECTS TRADEMARKは「中国裁判所、商標権を守る」です。
中国の会社が商標登録していた「ロボット猫」というキャラクターについて、北京の裁判所は日本の人気アニメ「ドラえもん」に酷似していて著作権侵害にあたるとして、商標登録を無効とする判断を示しました。
今回のニュースを通して、裁判と知財に関連する英語の語彙を増やしましょう。
A Chinese court has issued a ruling protecting the copyright of the popular Japanese anime character "Doraemon." The court ruled the trademark given to a Chinese character that's similar in appearance is a copyright infringement.
A company in Fujian Province filed a lawsuit in January this year with the intellectual property court in Beijing. It protested a 2016 decision by a government agency that the trademark was invalid. That came after a company that had licensed the Doraemon character filed a complaint, saying the Chinese character closely resembles the robot feline. The firm had argued its character bears little resemblance to Doraemon and claimed it was an original creation.
The judge who heard the case reportedly studied Doraemon comics to prepare for the trial.
The ruling comes amid concerns about the protection of intellectual property rights in China. A number of Japanese brands have been copied in China without the permission of those who hold the trademark rights.
センテンスごとに学ぶ
rulingは「判決、裁決」で、issue a rulingは「判決を下す」です。give a rulingと言い換えることもできます。
もともとは日本人が英語のanimationを「アニメ」と略したのですが、「ドラえもん」など多くのアニメが海外で高い評価を受けるようになると、英語圏でも日本流のanimationをanime「アニメ」という言葉で指すようになりました。今では英語の辞書の見出し語にも、animeがあります。
前のセンテンスではrulingという名詞が使われていましたが、ここではその動詞形rule「裁定する」が使われています。本文のようにruleのあとに「主語+動詞」を続けることもできますし、rule in favor of A「Aに有利な判決を下す、Aの勝訴の判決を下す」や、rule against A「Aに不利な判決を下す、Aの敗訴の判決を下す」のようにも使います。
in appearanceは「見かけは、見た目では」という意味です。similar in appearanceは「外見が似ている」ですが、後ろにto Doraemonが省略されていると考えられるので、つまり「外見がドラえもんに似ている」です。
infringementは「(特許権・版権・商標などの)侵害」で、copyright infringementは「著作権侵害」です。
報道によりますと、中国の裁判所が日本の人気アニメ「ドラえもん」に酷似していて著作権侵害にあたるという判断を示したのは、福建省の会社が商標登録していた「ロボット猫」という名前のキャラクターです。
fileは「(告訴・苦情・請求・申請・嘆願などを正式に)提出する、起こす」という意味です。本文ではlawsuit「訴訟」を目的語に取り、file a lawsuit「訴訟を起こす」として使われています。センテンス5に出てくるcomplaint「訴状、苦情」やpetition「申請、嘆願」などもよく、fileの目的語になります。file a lawsuit with ...は「~に訴えを起こす」です。
itは、a company in Fujian Provinceを指しています。
protestの後ろにagainstやaboutなどの前置詞を使わずにprotest a decisionとするのは、アメリカ英語の用法です。
decisionは、rulingと同じように「(裁判所・裁判官の)判断、判決」としても使われます。
valid「有効な」に、「不、非、無」を意味する接頭辞in-の付いたinvalidは「無効な」です。
ここでのcomplaintは、法律用語の「訴状、告訴(状)」です。
センテンス2のsimilar in appearanceを、ここではresembleという1語で表しています。日本語では「似ている」と言いますが、英語のresembleは進行形にはしません。「AはBに似ている」は、A is resembling Bではなく、A resembles Bです。
feline「猫、ネコ科の動物」は、cat「猫」を指す専門用語です。ちなみに、dogを指す専門用語はcanineと言います。
the robot feline「ロボットの猫、猫型ロボット」は、ここでは「ドラえもん」を指しています。
ここでのlicenseは動詞で、「使用権を認める」という意味です。
文頭のthe firmは、どちらの会社を指すのかやや混乱を招きますが、文脈から福建省の会社のほうだと判断できます。
had arguedとしているのは、北京の知的財産権裁判所が判決を出した時点を基準に、そこまでで終わった出来事だからです。
センテンス5で使われていた動詞resembleの名詞形resemblanceが使われています。bear (a) resemblance to ...は「~に似ている」です。littleは「ほとんど~ない」という意味ですので、bear little resemblanceは「ほとんど似ていない」です。littleの代わりに、bear a striking/strong resemblance to ...とすれば「~と驚くほど(とてもよく)似ている」を表すことができます。
caseは「訴訟、裁判事件」で、hear a caseは「訴訟を審理する」という表現です。
reportedlyは「伝えられるところによると」という意味で、ニュースの英語でよく使われます。It is reported that the judge ...とするより簡潔になります。
amidは「~の状況で」という意味で、やはりニュースの英語で多用されます。amid以下の状況(中国での知的財産権保護について不安・懸念がある状況)でこの判決が下ったと説明しています。
intellectual propertyは「知的財産」で、IPとも略されます。
numberに形容詞を付けて、a large number of ...「多くの~」、a huge number of ...「膨大な数の~」、a small number of ...「少数の~」のように使うことがよくあります。本文のように形容詞を使わずにa number of ...としているときは「若干の~」とも「多くの~」とも取れますが、通常は「多くの~、多数の~」という意味です。なお、文法的に考えるとセンテンスの主語はa numberで単数なのですが、動詞は複数形にします。つまり、a number of Japanese brands has been ...ではなく、a number of Japanese brands have been ...です。