2018年8月1日(水)
サッカーのエジル選手 “移民差別”で代表引退
OZIL QUITS GERMAN SOCCER TEAM
英語タイトルのquitは「辞める」という意味で、OZIL QUITS GERMAN SOCCER TEAMは「エジル選手、ドイツ代表サッカーチームを辞める」です。
サッカードイツ代表のスター選手の1人として活躍してきたエジル選手が、トルコ系移民ということで差別的な扱いを受けたとして代表を引退する意向を表明しました。この出来事で、ヨーロッパの移民2世、3世が置かれた不安定な立場に、改めて世界の人々から注目が集まっています。
今回のニュースを通して、「批判」「苦情」「敬意」に関連する英語の語彙や表現を学びましょう。
German soccer star Mesut Ozil says he will no longer play for the national team. The 29-year-old midfielder blamed racial discrimination he has suffered as the son of Turkish immigrants.
Ozil was a member of the German team that won the World Cup four years ago. He also played in this year's tournament in Russia. But he posted a statement on Twitter Sunday, complaining of disrespect by the media, sponsors, and German football authorities.
Ozil came under fire before the tournament when he posed for a photo with Turkish President Recep Tayyip Erdogan. The Turkish leader has been criticized in Germany for his authoritarian rule. Erdogan was campaigning for reelection at the time the photo was taken, and he went on to win.
Ozil said the photo wasn't about politics or elections, but about respecting the highest office of the country of his ancestry. He said he is considered German when the national team wins, but an immigrant when it loses.
センテンスごとに学ぶ
no longerは「もう~することはない、もはや~ではない」という熟語です。動詞の前に入るとはかぎリません。例えば名詞の前に置いて... is no longer a dream.「~はもはや夢ではない」や、形容詞の前に置いて... is no longer necessary.「~はもはや必要でない」のようにも使えます。
national teamは「国の代表チーム」です。
「プレーする」というカタカナも定着しているplayですが、「試合をする、対戦する」という意味で使われています。
the 29-year-old midfielder「その29歳のミッドフィルダー」は、エジル選手を指しています。
racial discriminationは「人種差別」です。
動詞blameは、好ましくない事態について「その原因(責任)は~にある」と言うときに使う動詞です。本文では「今後はドイツ代表チームでプレーしない」ことになった原因はracial discriminationだと述べているわけですが、あえて言葉を補うならばThe 29-year-old midfielder blamed racial discrimination for his decision to no longer play for the national team.とすることができます。
sufferは「(損害・苦痛などを)こうむる」という意味です。fromを続ける場合と使わない場合があり、「損害・苦痛などをこうむる」ときはfromを使わずにsuffer racial discrimination「人種差別に遭う」、suffer a loss「損失をこうむる」、suffer a defeat「敗北を喫する」のようにします。「何かの病気で苦しむ」と言うときは、suffer from+病名で表せます。
winは、試合を目的語にした場合「~に勝つ」です。同じ用法で、win a warと言えば「戦争に勝つ」です。
tournamentには「総当たり戦」に対しての「勝ち抜き戦」という意味もありますが、各国の代表チームで争う競技大会を指す一般的な言葉でもあります。FIFAは、サッカーワールドカップの4年ごとの大会(本戦)をtournamentと呼んでいます。
インターネット上のサイトに「投稿する」というときの動詞としては、postが一般的に使われます。post a photo on Instagramと言えば「インスタグラムに写真を載せる」です。
complain of ...は「~について不満を言う」です。ofの代わりに、complain about ...を使うこともできます。
respect「尊敬、敬意」に否定・欠如・逆を意味する接頭辞dis-が付いたdisrespectは、「無礼、非礼、不敬」です。
come under fireは「厳しい批判を受ける」という表現です。be under fire「厳しい批判を受けている」という形でも使います。come under fire for ...として、forのあとに批判を受ける原因・理由を入れることもできます。本文では批判を受けた理由をwhen ...で示していますが、Ozil came under fire for posing for a photo ...と言い換えることもできます。
ここでのposeは「(絵や写真のモデルとして)ポーズを取る」という意味です。
直前のセンテンスで使ったcome under fireに換えて、本文ではbe criticized「批判される」を使っています。
ここでのcampaignは「選挙運動をする」という動詞です。
go on to ...は「次に~する、引き続き~する」 です。...に動詞が入ります。
トルコのエルドアン大統領は、ドイツをはじめとするヨーロッパ諸国からその強権的な支配を批判されています。
本文を構成するA is not about B. It's about C.は、1つの表現パターンです。「AはBの問題ではなくCの問題だ、AというのはBが問題(目的)なのではなくCが問題(目的)なのだ」という意味です。
ここでのofficeは「公的な要職」のことです。hold the office of ...と言えば「~の役職を務める」です。本文のthe highest office of [a] countryは「大統領職」を指しています。
considerは「~とみなす」という意味です。but以下はhe is consideredが省略されている形で、he is considered an immigrantは「彼は移民とみなされる」です。「~とみなす」は、regardやseeを使って、he is seen as ...やhe is regarded as ...と言い換えることもできます。
ここでのloseは「負ける」です。lose a gameなら「試合に負ける」、lose a warなら「戦争に負ける」です。
ドイツは1950年代から数か国と協定を結び、戦後復興とその後の経済発展を支える労働力としての外国人を呼び寄せました。当初はドイツも入国者の一時的なドイツ滞在を想定していましたが、現実にはドイツに生活の基盤が築かれ、今ではドイツで生まれ育った2世、3世が多く暮らしています。特に多いのがトルコ系移民です。