2018年12月19日(水)
仏大統領 反政府デモに譲歩
MACRON PROMISES WAGE HIKE
英語タイトルのMACRON PROMISES WAGE HIKEは「マクロン大統領、賃上げを約束」です。
フランスでは、マクロン政権が燃料税の引き上げ案を発表して以来、暴力を伴う激しい抗議活動が続いています。そんな中、マクロン大統領は、事態の沈静化をねらって最低賃金の引き上げなどの対策を打ち出しました。
今回のニュースで、デモを「静める」、デモが「勃発する」など、抗議活動の関連語彙を学びましょう。
In France, the president has announced a minimum wage hike and tax cuts. The move is seen as an attempt to pacify the violent protests that have raged across the country in recent weeks.
Macron made the concessions on Monday in a recorded TV address. He acknowledged the anger of the protestors, saying it was deep and some of their claims were legitimate. But he also said no anger justifies violence, and that it would not be tolerated. Macron said his government's response would use strong measures, including cutting taxes more rapidly and keeping spending under control.
Far-left opposition leader Jean-Luc Melenchon criticized Macron, saying the president thought he could hand out some cash to calm the insurrection that has erupted.
The weeks-long so-called "yellow vest" protests started over a proposed fuel tax hike, but have turned into a condemnation of Macron's policies and France's ruling class.
センテンスごとに学ぶ
minimum wageは「最低賃金」です。このようにminimumを形容詞として使った例としてはほかに、minimum age「最低年齢」、minimum requirements「最低要件」、minimum charge「最低料金」などがあります。
hikeは、名詞では「引き上げ」、動詞では「引き上げる」という意味です。consumption tax hikeなら「消費税の引き上げ」です。
tax cutは「減税」です。
moveは、何らかの目的達成に向けて起こす「行動」、進展や達成を意図した「動き」です。ここでは「最低賃金の引き上げと減税の発表」を指しています。make a moveと言えば「手を打つ、措置を講じる」です。
pacifyは「(怒った人を)なだめる、平静な状態に戻す」という意味です。「平和」を意味するラテン語のpax、pac と、「~にする」を意味する接尾辞-fyからできている言葉です。この接尾辞はほかに、simplify「簡潔にする」、beautify「美化する」、センテンス5に出てくるjustify「正当化する」などの動詞に見られます。
ここでのrageは動詞で、戦争や暴動や疫病を主語に「激しく続く、猛威を振るう」です。The civil war raged for 20 years.と言えば「内戦は20年続いた」です。ほかにも、人を主語に「激怒する」、風・水・海などを主語に「荒れる」という意味で使われます。名詞では「怒り、憤り」です。
addressは「住所」やメール「アドレス」のaddressと同じ単語ですが、ここでのように「演説」という意味もあります。アメリカ大統領が連邦両院議員に向けて毎年1月に行う「一般教書演説」は、the State of the Union Addressです。「演説する」という動詞としても使います。
recordedは「録画(録音)された」です。a pre-recorded TV showなら「録画放送のテレビ番組」、反対はa live TV show「生放送のテレビ番組」です。
ここでのconcessionは「譲歩」です。
ここでのacknowledgeは、ある事実や事柄の存在を「認める」です。
claimは「主張」です。
legitimateには「合法の、適法の、(子が)嫡出の」という意味もありますが、ここでは「道理にかなっている、正当な、まともな」です。
justifyは「正当化する」です。no anger justifies violenceは「どんな怒りも暴力を正当化できない」です。
tolerateは「許容する、大目に見る、我慢する」です。it would not be toleratedのitは、violenceを指しています。
that it would not be ...は、he also said that it would not be ...と、he also saidから続いています。マクロン大統領の発言内容は、"no anger justifies violence"と、"it would not be tolerated"の2つです。1つ目はsaidからすぐつながっているのでthatがなくても発言内容であることは明らかですが、2つ目はsaidから離れているので、文の構造上、独立した節として読むことも可能です。そうした曖昧さを避けるため、通常2つ目以降の発言内容にはthatを付けます。
センテンス1では、tax cut「減税」という名詞が出てきました。cut taxは「減税する」です。
keep ... under controlは「~を抑制する、~を支配下に置く」という表現です。例えば、keep appetite under controlなら「食欲を抑える」です。
far-leftは「急進左派の、極左の」です。far-left groupなら「極左団体」、far-left extremistなら「極左過激派」です。反対はfar-right「急進右派の、極右の」です。
hand outは「分配する」です。handoutと1語で綴れば、「(貧しい人への)施しもの」という名詞になります。なお授業や会議などで配布する「プリント」も、handoutと言います。
calm「なだめる、静める」は、センテンス2に出てきたpacifyの類語です。
ここでのeruptは「勃発する」で、暴動などを主語にとります。ほかにも「(鬱積していた感情が)爆発する、(火山が)噴火する」という意味でも使います。
so-calledは、本文のように通称・俗称を紹介するときに使います。また、「本来そう呼ぶに値しないが」と軽蔑や不信の念を込めて使うときもあります。例えばa so-called expertなら、話者・筆者がその人を専門家として認めていないことを示唆します。
yellow vestは、日本でも交通整理や道路工事など路上での作業を行う人たちが着用している黄色い蛍光色のベスト(チョッキ)で、今回の抗議行動のシンボルとなっています。フランスでは自動車1台に1着装備することが義務づけられていて、デモの発端となった燃料税引き上げを連想させます。
turn into ...は「~に変わる、変容して~になる」です。