2018年12月26日(水)
あおり運転事故に懲役18年
ROAD RAGE MAN GETS 18 YEARS
英語タイトルのROAD RAGE MAN GETS 18 YEARSは「あおり運転の男に懲役18年」です。road rageは、ほかの車に割り込まれたり追い越されたりしたことなどに腹を立てた運転者が取る、過激な報復行動のことです。get ... yearsは「懲役~年(の判決)を受ける」です。
東名高速道路であおり運転をきっかけに家族4人が死傷した事故の裁判で、横浜地方裁判所は、被告に懲役18年を言い渡しました。
今回のニュースを通して、関連の語彙や表現を増やしましょう。
A first-of-its-kind court ruling is making headlines in Japan in a high-profile road rage case. A court in Yokohama has sentenced a man to 18 years in prison for dangerous driving which caused two deaths. The focus of the trial was whether he could be found guilty of the charge, because he was not actually driving when the two people were killed.
In Friday's ruling, the presiding judge noted Kazuho Ishibashi tailgated a van on an expressway west of Tokyo, and later blocked its path four times before it was forced to stop. A couple was killed when a truck slammed into the back. Their two daughters were injured.
The judge ruled the fact Ishibashi blocked the van is closely linked to dangerous driving causing death. He also ruled that the 26-year-old's actions increased the risk of a fatal accident.
His lawyer had argued that Ishibashi was not guilty on that charge because he was stopped at the time of the collision.
Tailgating is on the rise in Japan. In the first 10 months of this year, police recorded almost 11,000 cases, double last year's figure for the same period.
センテンスごとに学ぶ
of its kindは「その種類の中で、その手の~の中で」で、the (またはa) first of its kindは「今までに類のない、これまで類をみない」という表現です。
make headlinesは「ニュースの見出しになる、(新聞などで)大きく取り上げられる、大々的に報道される」という表現です。
high-profileは「世間が注目する、耳目を集める」という意味です。反対はlow-profile「目立たない、地味な」で、keep a low profileと言えば「目立つ行動を控える、目立たずにいる」です。
タイトルでも使われているroad rageは「運転中の怒りの爆発」です。
ここでのsentenceは「(人を)~の刑に処する」という動詞です。be sentenced toのあとに「刑」がきます。口語的には、タイトルに出てくるget ... years (in prison)のようにも言います。
dangerous drivingは「危険運転」です。
find ... guiltyは「~を有罪と裁決する」で、本文では受動態になっています。...には「被告人」が入ります。一方、「無罪と裁決する」と言う場合は、find ... not guiltyと表せます。
guilty ofのあとには、罪状がきます。be found guilty of fraudと言えば「詐欺で有罪になる」です。
動詞presideには「座長を務める、主宰する、統括する」などの意味があります。presiding judgeは「裁判長」です。
名詞としてのtailgateは「(自動車の)後ろのドア、尾板、後部開閉板」ですが、動詞としては「前の車にぴたりとついて走行する」という意味です。
裁判長は、石橋被告の行為を時間軸の上に並べて列挙しています。laterとbeforeが時間的な前後関係を明確にしています。beforeは「~の前に」、afterは「~のあとで」という訳語がすぐに思いつきますが、「Aが起きたあとでBが起きた」と言うときにafterを使うと、B happened after A didとなり、AとBの順序が入れ替わってしまいます。本文のようにbeforeを使うと、A happened before B did となり、時間的な前後関係をそのままに文にできます。
日本語では「死亡した」と自動詞的に表現しますが、英語では事故や戦争や災害による死を伝えるときにbe killedを使うことがよくあります。
slam into ...は「~に激突する、~に突っ込む」です。
be injuredは「負傷する」です。
ruleのあとに主語(S)+動詞(V)を続けて、「SがVをした(SはVである)と裁定する、評決する」です。
本文では「危険運転致死傷」を、dangerous driving causing deathと表しています。「危険運転致死傷罪」はこれ以外にも、vehicular homicideや、dangerous driving resulting in death (or injury)などと英訳されている例が見つかります。
ここでのcauseは「結果的に~をもたらす」です。この意味でのcauseは、result in ...で言い換えることができます。
the 26-year-oldは、石橋被告を指しています。このように、...-year-old「~歳の人」という名詞として使うことができます。
fatalは「致命的な」で、fatal accidentは「死亡事故」です。fatal illnessなら「死に至る病、死病」です。名詞形はfatalityで、「(事故や災害による)死、死者数」という意味があります。例えば、More than 40 people were injured in the explosion, but there were no fatalities.と言えば「その爆発で40人以上が負傷したけれど、死者は出なかった」です。
横浜地方裁判所の深沢裁判長は、被告が走行車線に車を止めたこと自体は危険運転には当たらないとしたものの、それ以前に4回にわたって車の進路を妨害した行為などとは密接に関連し、追突事故を誘発する原因になったとして、危険運転致死傷の罪を適用できると判断しました。
had arguedとしているのは、判決が出た時点を基準にとって、「そのときまで主張していた」からです。
that charge「その罪」とは、危険運転をして人を死に至らしめた罪です。
collisionは「追突、衝突」です。動詞形は、collide「衝突する、ぶつかる」です。
石橋被告の弁護士は、「車線上に車を止めたことが危険運転致死傷罪の実行行為に該当しないという主張が認められた点は評価できる」としたうえで、一連の行為に対し危険運転の罪が適用されたことについては「走行中の車を前提にした法の趣旨を骨抜きにするもので処罰の範囲を拡大している」と批判しました。
(be) on the riseは「増加中で」という表現です。on the increaseとも言います。反対に「減少中で」は、on the decrease、またはon the declineなどと言えます。
doubleは「2倍の」という形容詞です。センテンスの構造が分かりにくければ、... almost 11,000 cases, which is double last year's figure ...のように、which isを補ってみてください。
警察庁によりますと、1月から10月にあおり運転に該当する車間距離不保持で摘発した件数は全国で1万件を超えました。今回判決が下った死亡事故をきっかけに、摘発を強化した影響があると見られます。