2018年9月7日(金)
セミの羽に抗菌作用
TAKING A HINT FROM NATURE
英語タイトルのtake a hintは「ヒントを得る、ピンとくる、それと気づく」という表現で、TAKING A HINT FROM NATUREは「自然から示唆を得る」です。
クマゼミなどセミの透明な羽の表面に、薬剤を使わなくても細菌を殺す抗菌作用を持った特殊な構造があることが分かりました。人工的に再現することも可能だということで、今後さまざまな分野への応用が期待されています。
今回のニュースを通して自然界の驚くべき作用を学び、英語で発信してみましょう。
Researchers in Japan say they've made a discovery about a common insect, and it could help fight germs that affect humans.
The team was led by Takeshi Ito, a professor of engineering at Kansai University. The group studied cicadas. It was known that the wings of some species have antibacterial properties, but the precise mechanism was a mystery.
The researchers took a closer look at the wings and discovered microscopic protrusions in neat rows. They then created a surface that mimics the wings. They applied the dangerous bacteria E. coli. Within 20 minutes, the cells had broken down and died.
(Takeshi Ito / Professor, Kansai University)
"Drug-resistant bacteria have been appearing. The material we have developed destroys bacteria through a physical process."
The group says the antibacterial material could be used in a variety of settings, such as kitchens and medical institutions.
センテンスごとに学ぶ
researcherは、research「研究する」+-er「人」から成る単語で、「研究者」です。
discoveryは「発見」で、make a discovery about ...は「~について、ある発見をする」という表現です。動詞のdiscover「発見する」で言い換えることもできます。
commonは「一般的な、ありふれた」、insectは「昆虫」で、common insectは身の回りにいて特に珍しくもない「身近な昆虫」です。具体的な昆虫の名前は次の文に登場します。
germは「細菌」です。
the team「そのチーム」とthe group「そのグループ」はどちらも、伊藤教授が率いる研究集団を指しています。
engineeringは「工学」です。ここでのa professor of engineering at Kansai Universityは、関西大学システム理工学部の教授です。
cicadaは「セミ」です。
wingは「羽」、speciesは「種」です。
antibacterialは、anti-「反対の」+bacterial「細菌の」から成る単語で、「抗菌(性)の」です。
propertyには「財産、所有物」という意味もありますが、ここでは「特性」で、antibacterial propertyは「抗菌性」です。
preciseは「正確な、詳細な」、mechanismは「機構、仕組み、からくり」です。
take a close look at ...は「~を詳しく見る」という表現です。look at ... closelyと言い換えることもできます。
microscopicはmicroscope「顕微鏡」から派生した形容詞で、「顕微鏡でしか見えない、極小の」という意味です。
protrusionは「突起(部)、突出」です。
neatは「きちんとした」、rowは「列」で、in neat rowsは「きちんとした列で、整然と並んで」という表現です。
研究グループは、クマゼミの羽を詳しく観察したところ、羽の表面に直径5000分の1ミリ以下の極めて細かい突起が規則正しく並んでいることに注目しました。
冒頭のtheyは、伊藤教授の研究グループを指しています。
surfaceは「表面」です。
mimicは「まねる、模倣する」です。
the wings「その羽」は、セミの羽を指しています。
applyには「適用する、応用する」という意味もありますが、ここではセミの羽を模倣した表面に「加える、塗る、つける」です。
E. coliは、Escherichia coli「大腸菌」のことです。
the cells「その細胞」は、大腸菌の細胞を指しています。
句動詞break downは、ここでは「壊れる」という意味です。
伊藤教授の言葉を英訳したものです。
drugは「薬」、resistantは「抵抗力のある、耐久性のある」で、drug-resistant bacteriaは「耐薬品性の細菌」です。
physicalは「物理的な」、processは「加工、工程、過程」です。
伊藤教授はほかにも、「身近な生き物であるセミにこんな力があるのかと驚いた。薬剤を使わずに抗菌作用を持たせられるメリットは大きい。実用化に向けた研究を進めていきたい」などと話しています。
the group「そのグループ」は、伊藤教授が率いる研究グループを指しています。
varietyは「多様性」で、a variety of ...は「さまざまな~」という表現です。
settingは「環境、状況、設定」です。