2019年1月21日(月)
地球内部に微生物の巨大な世界
SCIENTISTS STUDY '3rd BIOSPHERE'
英語タイトルのSCIENTISTS STUDY '3rd BIOSPHERE'は「科学者たちが『第三の生物圏』を研究」です。
地球内部の過酷な環境の中に微生物の巨大な生物圏が広がっているとする報告を、世界の研究者が参加する国際プロジェクトがまとめました。今回のニュースには日常生活ではあまり聞きなれない科学の専門用語がたくさん出てきます。これらの意味を正しく理解して、地球生命に関する最先端の研究成果を読み取りましょう。
An international research team says most of the Earth's bacteria and other microorganisms likely live in an enormous hidden world, far below the Earth's surface. They say studying this world may help scientists figure out whether there is life on other planets.
Researchers from about 50 countries have been taking part in the project called "Deep Carbon Observatory." They have been examining microbial life contained in samples extracted from approximately 100 sites around the world. The sites include a deep mine located more than 5,000 meters below the Earth's surface and a narrow shaft bored more than 2,500 meters into the seafloor.
Scientists think up to 70 percent of the Earth's bacteria and single-celled microorganisms live inside the Earth. They estimate this biosphere is almost double the size of all the oceans combined.
One Japanese scientist participating in the project calls this world a third biosphere apart from those on the Earth's surface and in the oceans.
センテンスごとに学ぶ
most of ...は「~の大半、大部分」で、この場合のmostは名詞です。ofに続く内容に限定したうえで、その大部分を指します。ここでは「地球の細菌その他の微生物の大半」です。一方、形容詞のmostの場合は「大抵の、ほとんどの」という、より一般的な内容を指します。例えば、Most children love sweets.「たいていの子供はお菓子が大好きです」といった使い方です。
bacteriaは「細菌、バクテリア」ですが、単数形はbacteriumです。このように複数形がより広く用いられる単語には、ほかにもdata「データ」などがあります。dataの単数形は、datumです。
theyは、前のセンテンスにあるan international research teamです。チームとしては1つなので単数ですが、そのチームには複数の研究者が参加しているので、theyで受けています。
help+人+動詞の原形で「人が~するのを助ける」を表すことができます。
figure outは「~だと分かる、解き明かす」という句動詞です。
ここでのlifeは「生命、生命体」という意味で用いられています。「人生、生活」ではありません。
take part in ...は「~に参加する」という熟語で、participate in ...で言い換えることもできます。
このプロジェクト名Deep Carbon Observatoryは、日本の学会でもDCOなどと略されており、特定の日本語名はないようです。地球の深い領域の炭素を観測するため、数百人の専門家によって結成された国際共同研究機関です。
microbialは「微生物の」という形容詞です。microbial lifeは文字どおりには「微生物の生命」ですが、ここではセンテンス1のmicroorganism「微生物」を言い換えています。ちなみに、microorganismなら「顕微鏡を用いて観察できる生命体」です。反対に「肉眼で見える生命」には、macroorganismという単語があります。ミクロとマクロという対義語を含む単語です。
具体的な数値を用いて「深さ~メートル」や「高さ~メートル」と言うときは、「数値+単位+前置詞」の語順です。「地上200メートルの高さ」なら、200 meters above the groundとなります。
shaftは「立て坑」と呼ばれる垂直に掘られた空間を指します。
ここでのboreは他動詞で「(~を)掘る」という意味ですが、よりなじみが深いのは「(人を)うんざりさせる、退屈させる」でしょう。この形容詞が、boring「退屈な、つまらない」です。
up to ...は「最大~まで、~を上限として」という意味で、通常その数字を含みます。厳密に示す必要がある場合は、up to and including ...と詳しく言ったり、up to but not including ...でless thanと同じ意味を表したりします。
single-celledは、生物学における「単細胞の」という形容詞です。同じ意味を指す単語には、monocellularやone-celledがあります。
サンプルの中には、海底の熱水が噴き出す120度を超える環境でも生息できる微生物や、岩石をエネルギー源とする微生物などもいて、地上とは大きく異なる地球内部の過酷な環境で独自の進化を遂げていると見られるということです。
biosphere「生物圏」のように、-sphereの形は「~圏」を表します。ほかに、atmosphere「大気圏」、stratosphere「成層圏」などの例が挙げられます。sphere自体には「球形、領域、分野」といった意味があります。
double the size of ...は「~の2倍の大きさ」です。これが3倍ならtriple the size of ...、4倍ならfour times the size of ...と表せます。
センテンス3でも解説したように、participate in ...はtake part in ...と同じで、「~に参加する」です。
「AをBと呼ぶ」と表現するときはcall+A(目的語)+B(補語)の語順になり、AとBの間に前置詞を含まない点に気をつけましょう。ここではthis worldが目的語、a third biosphereが補語であることから、calls this world a third biosphereは「この世界を第三の生物圏と呼ぶ」となります。
プロジェクトに参加している海洋研究開発機構の稲垣史生上席研究員は、「地球内部は陸・海に次ぐ第三の生物圏ともいえ、まだほとんど明らかになっていない。地球内部の生態系を調べれば、火星などほかの惑星にも生命が存在するのかといった問いに新しい視点を与えてくれる」と話しています。