2019年1月24日(木)
マケドニア議会 国名変更を可決
MACEDONIA'S PARLIAMENT BACKS NEW NAME
ニュースタイトルのMACEDONIA'S PARLIAMENT BACKS NEW NAMEは「マケドニア議会、新国名を支持」です。
旧ユーゴスラビアのマケドニアで、国名を「北マケドニア」に変える憲法改正案が可決されました。今のマケドニアは貧しく、国の経済を発展させるにはEU=ヨーロッパ連合とNATO=北大西洋条約機構に加盟する必要があり、国名の変更はそうした厳しい状況での選択だったようです。
今回のニュースを通して、「(組織・機関に)加盟する」「(組織・機関の)会員(加盟国)であること」に相当する英語表現を勉強しましょう。
Macedonia's parliament has approved a constitutional change to rename the country the "Republic of North Macedonia." The decision ends a long-running dispute with Greece and paves the way for the country's entry into NATO and the European Union.
Eighty-one members of the 120-seat parliament voted in favor of the amendment on Friday, clearing the requirement for a two-thirds majority.
The name change was set as a precondition for the former Yugoslav republic, which became independent in 1991, to join the two organizations. Greece had been blocking its membership in both due to a decades-long dispute over the use of the name. Athens maintains that "Macedonia" refers to an ancient kingdom that spanned what is now northern Greece.
Observers say the country's accession to NATO and the European Union would be an important step toward countering Russia's sway in the Balkan Peninsula, where Moscow has been increasing its influence.
センテンスごとに学ぶ
constitutionalはconstitution「憲法」の形容詞形で、constitutional changeは「憲法改正」です。「憲法改正」は、センテンス3に出てくるamendmentを使って、amendment to the constitutionとも表現できます。
nameは、名詞では「名前」ですが、動詞として使うと「名付ける」です。これに「再」を意味する接頭辞 re-が付いたrenameは「名前を付け直す、改名する」です。name A Bは「AにBという名を付ける」で、これと同様にrename A Bは「AをBと改名する」です。
動詞paveは、地面にレンガや石を敷き詰めて舗装することです。pave the wayは、文字どおりには「道を舗装する」ですが、「~への道を開く、地固めをする、下準備をする~を可能にする」という意味の熟語として使います。例えば、The referendum paved the way for independence.なら「その国民投票が独立への道を開いた」です。
NATOは、North Atlantic Treaty Organization「北大西洋条約機構」の頭文字をつなげたものです。このように頭文字を取って1語として発音するものを、acronymと言います。UNESCO(United Nations Educational, Scientific, and Cultural Organization)「国連教育科学文化機関」や、WADA (World Anti-Doping Agency)「世界アンチドーピング機構」もacronymです。同じような概念にabbreviation「省略、短縮」がありますが、acronymのように新たな単語として発音できないものも含まれます。United StatesをU.S.とするのはabbreviationですが、acronymとは言えません。
英語の書き言葉には「文頭の数字は算用数字でなく文字で綴る」というルールがあるため、81ではなく、eighty-oneと表記しています。
vote in favor of ...は「~に賛成票を投じる」です。「Aに反対票を投じる」なら、vote against ...で表現できます。
分数は、分子を基数(one, two, three ...)で表し、ハイフンのあとに分母を序数(third, fourth, fifth ...)で表します。分子が2以上なら、分母に複数形のsを付けます。
the former Yugoslav republicは、マケドニアを指しています。正式名称は、the Former Yugoslav Republic of Macedonia(FYROM)です。
the two organizations「2つの組織」は、センテンス2に出てきたNATOとthe European Unionを指しています。
1991年までユーゴスラビア社会主義連邦共和国を構成していたのは、マケドニア、スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、モンテネグロ、セルビアの6共和国です。このうちマケドニアを含む4共和国が、1991年~1992年に独立を宣言しました。マケドニアの国連への加盟は、Former Yugoslav Republic of Macedonia「マケドニア旧ユーゴスラビア共和国」の暫定名称を用いることで、1993年に実現しています。
itsは、the former Yugoslav republicを指しています。
bothは、NATOとthe European Unionを指しています。
due to ...は「~のために(理由)」です。
decades-longは「数十年に及ぶ」という意味です。「数十年に及ぶ対立」は、decades-old disputeとも表現できます。
旧ユーゴスラビアから独立したマケドニアの国名をめぐっては、隣国のギリシャが変更を求め、20年以上にわたって対立が続いてきました。
Athens「アテネ」はギリシャの首都で、ここでは「ギリシャ政府」を指しています。
maintainは「主張する」です。特に、周りの人たちから反対意見が上がっているときや信じられていないときに「(それでも)~だと主張し続ける」という意味で使います。
ここでのspanは「広がる、及ぶ」です。
what is now northern Greece「現在はギリシャ北部となっているところ」としているのは、この古代王国の時代に今の形の「ギリシャ」はなかったからです。
マケドニアは、南でギリシャと国境を接しています。ギリシャは、「マケドニア」はギリシャ古来の由緒ある名称であり、その使用はギリシャ北部のマケドニア地方に対する領土要求の野心を示すものだとして反対してきました。
accessionは「(国際機関への)加盟」です。accession toは、センテンス2のentry intoの言い換えになっています。
a step toward ...は「~に向けての一歩、~に近づく一歩」です。本文のimportantのように、stepにはmajor「大きな」、historic「歴史的な」、giant「長足の」、first「最初の」などの形容詞を付けて使うことが多くあります。
sway「支配力、影響力」は、同じ文中のinfluenceと大体同じ意味で使われています。
マケドニアのNATOやEUへの加盟が実現すれば、この地域でのヨーロッパ各国とロシアの力関係にも影響が出るとみられています。