2019年2月11日(月)
日銀 リーマンショック当時の議事録を公開
GLIMPSE INTO POST-LEHMAN CHAOS
英語タイトルのGLIMPSE INTO POST-LEHMAN CHAOSは「リーマンショック後の大混乱をかいま見る」です。
日銀が、世界的な金融危機、リーマンショックが起きた2008年下半期の金融政策決定会合の議事録を公表しました。そこには想定を上回る速さで世界経済が悪化する中、危機対応に苦心した様子が生々しく記されています。
今回のニュースでリーマンショックを振り返りながら、金融政策に関する英語表現を学びましょう。
The Bank of Japan has given a glimpse into the dark days it faced following the 2008 collapse of Lehman Brothers. Officials released the minutes from their meetings after the crash.
The minutes cover 11 meetings, including one in September that took place starting the day after the collapse. During the meeting, the BOJ's leadership reported that the financial market had completely changed and was filled with tension.
Officials at the Bank of Japan held a flurry of meetings to try and contain the situation. They coordinated with their counterparts around the world to inject huge sums of money into the financial system. Then on October 31st, the BOJ decided to slash the key interest rate.
But the question was by how much. Officials were concerned that making it too low would disrupt markets.
Then-Governor Masaaki Shirakawa suggested a cut of 0.2 percentage point, but the vote was split down the middle. In an unusual move, Shirakawa made the final call and pushed forward with his plan. The incident highlighted the precarious nature of policymaking in the face of a historic crisis.
センテンスごとに学ぶ
the Bank of Japanは、日本の中央銀行である「日本銀行」です。「日銀」と略されることもあります。
glimpseは「ちらりと見ること、いちべつ」で、give a glimpse into ...は「(主語を介して)~をかいま見る」、あるいは「(主語が)~をかいま見せる」という表現です。
collapseは「破綻」です。
officials「職員たち」は、日銀を指しています。
releaseは「発表する、公開する」です。
minutesは、複数形で「議事録」です。
their meetings「彼らの諸会合」は、具体的にはリーマンショックが起きた2008年下半期に開かれた11回の「金融政策決定会合」を指しています。
the crash「その暴落」は、リーマン・ブラザーズの破綻(リーマンショック)を指しています。前のセンテンスに登場したthe collapseの言い換えです。
ここでのcoverは「網羅する」という動詞です。
11 meetings「11回の会合」は、11回の金融政策決定会合を指しています。
one in September「9月の会合」は、具体的にはリーマン・ブラザーズの破綻翌日に開かれた会合を指しています。
the collapse「その破綻」は、前のセンテンスに登場したthe crashの言い換えで、リーマン・ブラザーズの破綻を指しています。
the meeting「その会合」は、リーマン・ブラザーズの破綻翌日に開かれた9月の会合を指しています。
the BOJは、the Bank of Japan「日本銀行」を略した名称です。the BOJ's leadershipは「日銀の執行部」です。
financial marketは「金融市場」です。
completelyは「完全に」という副詞です。
ここでのtensionは「緊張」という意味です。
a flurry of ...は「どっと押し寄せる~」という表現で、本文のa flurry of meetingsは「相次ぐ会合」が開かれた様子を表しています。
ここでのcontainは「抑える、食い止める」という意味で、contain the situationは、つまり「リーマンショック後の金融市場の混乱を抑え込む」ことです。
冒頭のtheyは、日本銀行(の執行部)を指しています。
coordinate with ...は「~と調和する、~と連携する」です。
counterpartは「相当する物や対等な立場の人」といった意味なので、their counterparts around the worldは「世界中の中央銀行」を指しています。
injectには「注入する、注ぐ、導入する、注射する」などの意味があり、inject huge sums of moneyは「巨額の資金を供給する」という日銀の取った行動です。
interest rateは「金利」です。ここでのkey interest rate「主要金利」は、日銀の「政策金利」を指しています。
1文目は前のセンテンスの内容を補って、例えばby how much (the key interest rate should be slashed)のようにすると分かりやすくなります。
officialsは、日銀(の執行部)を指しています。
itは、(政策)金利を指しています。
disruptは「混乱させる、乱す」です。名詞形は、disruption「分裂、中断、混乱」です。
役職名の前にthenが付くと「当時の」という意味を表します。then-Governorは「当時の(日銀)総裁」です。
ここでのvoteは「投票(総数)、投票による賛否の表明」という名詞です。
splitは「割る、裂く、分割する」です。split-split-splitと、過去形・過去分詞形・原形ともに同じです。split down ... the middleは「~を2つに分割する」という表現で、ここでは受身形になっています。
unusualは、否定辞un-+usual「通常の」から成る単語で、「普通でない、異例の」という形容詞です。
ここでのmoveは「動くこと、措置、手段、手だて」という名詞です。
make the final callは「最終決断を下す」という表現です。
push forward with ...は「ほかを押しのけて~を前に進める、~を推進する」です。
このときは、引き下げ幅などをめぐって4つの異なる意見が出され、議長を務める当時の白川総裁が「4種類の意見が出たのは初めてだ。我々が置かれている厳しい経済の情勢や、政策金利の水準が非常に低い状況の難しさも反映している」と述べました。
the incident「その出来事」は、リーマンショック後の政策金利の決定過程を指しています。
ここでのhighlightは「目立たせる、際立たせる、強調する」という動詞です。
precariousは「不安定な、不確かな、危うい」、policymakingは「政策立案」です。
in the face of ...は「~に直面して」という表現です。
historicは「歴史的に有名な、歴史に残る」という形容詞です。historical「歴史に関する、歴史に基づく」と混同しないように注意しましょう。