2019年3月1日(金)
インド初の準高速列車が牛と衝突
COW COLLISION HALTS TRAIN
英語タイトルのCOW COLLISION HALTS TRAINは「牛との衝突、列車を停止」です。
インドで初めてとなる国産の準高速列車として運行を始めたばかりの一番列車が、線路に迷い込んだ牛と衝突して故障しました。国を挙げた鉄道の高速化が、ヒンドゥー教で神聖な生き物とされる牛に、出はなをくじかれた形となりました。
今回のニュースで、インドの宗教と経済成長の関係をめぐる話題を英語で学びましょう。
India's first locally built semi high-speed train has come to a halt just a day after it was launched. The train hit a cow, which is considered sacred in the country.
Indian media report the accident took place during the train's return to New Delhi from the northern city of Varanasi. Prime Minister Narendra Modi saw it off at the departure ceremony in New Delhi. Reports say the train's electrical and braking systems were damaged from the collision, but regained power.
In India, more cattle that can't produce milk are being abandoned and becoming strays. The Modi government has been cracking down on unlicensed slaughter houses and smuggling to protect holy animals in the country's Hindu religion.
センテンスごとに学ぶ
locallyは「地元で、現地で」という副詞で、本文のlocally builtは「インド国産の」です。
semiは「準~」で、semi high-speed trainは「準高速列車」です。この列車は、車両やモーターなどほぼ全てが国産で、インドでこれまでで最速となる時速160キロで走ります。
haltは「停止」で、come to a haltは「停止する」という表現です。
just a day after ...は「~の翌日」で、ここでのjustは強調です。
launchにはロケットを「発射する」、新製品を「発売する」などの意味もありますが、ここでは列車が運行を「開始する」です。
the train「その列車」は、運行を開始した準高速の一番列車を指しています。
sacredは「神聖な、聖なる」という形容詞です。
the country「その国」は、インドを指しています。
インドは人口のおよそ8割がヒンドゥー教徒で、ヒンドゥー教で牛は神聖な動物とされています。
take placeには、催し物などが「開催される、行われる」という意味もありますが、ここでは事故や事件が「起こる」という意味で使われています。
一番列車は2月15日、ニューデリーから北部の都市バラナシに向かい、翌16日に折り返しでニューデリーに戻る途中に、線路に迷い込んだ牛と衝突したということです。
see offは「見送る」という句動詞です。see it offのitは、準高速の一番列車を指しています。
departureは「出発」、ceremonyは「式典」です。
New Delhi「ニューデリー」は、インドの首都です。
モディ首相は記念式典で、「この列車は発展したインドの象徴だ」と述べました。インドでは急速な経済成長に伴って、人の移動や物流にかかる時間を短縮させる需要が高まっていて、インド政府は国を挙げて鉄道の高速化を進めています。
electrical and braking systemsは「電気系統とブレーキ系統」です。
collisionは、動詞collide「衝突する」の名詞形で、「衝突」です。
regain「取り戻す」は、「再び」を意味する接頭辞re-と gain「得る」から成る動詞です。
cattleは、畜牛を集合的に表す名詞です。
abandonは「捨てる、置き去りにする、見捨てる」です。
ここでのstrayは「迷い出た家畜」という名詞です。
crack downは「厳しく取り締まる」という句動詞です。
unlicensedは、否定辞un-+licensed「免許を受けた、認可された」から成る単語で、「認可を受けていない、無免許の」という形容詞です。
slaughterは「食肉解体処理」で、slaughter houseは「食肉(解体)処理場」です。
holyは「神聖な、聖なる」で、センテンス2に登場したsacredの言い換えです。
インドでは牛はもともと神聖な動物として大事にされていましたが、ヒンドゥー至上主義の団体を支持基盤とするモディ政権になってから、より手厚く牛を保護する政策が取られています。牛の処分が厳しくなったことから、放置されたり捨てられたりした野良牛が増えているという背景があります。