2019年3月12日(火)
ゴーン前会長 保釈
GHOSN RELEASED ON BAIL
英語タイトルのGHOSN RELEASED ON BAILは「ゴーン前会長、保釈される」です。
日産自動車のカルロス・ゴーン前会長が、保釈金10億円を納め、東京拘置所から保釈されました。身柄の拘束は最初の逮捕から108日間に及びました。
このニュースには日常会話ではあまり聞き慣れない、刑事司法手続きに関する英語表現がたくさん登場します。bail「保釈」、detention「勾留」、indictment「起訴」などの語彙に注意しながら、この国際的にも注目されている話題について理解を深めましょう。
We begin in Japan, where the former chairman of Nissan Motor is free on bail. After spending over 100 days behind bars, Carlos Ghosn posted nearly nine million dollars and walked out of a Tokyo detention center.
Ghosn stepped outside on Wednesday in disguise. He wore a worker's uniform, a cap, and a mask.
Ghosn has been indicted for aggravated breach of trust and underreporting his compensation by tens of millions of dollars, charges he denies.
He is facing a number of bail conditions. The 64-year-old has to live in Tokyo, and can't leave Japan. He's prohibited from contacting people involved with the case. Cameras will be watching who is coming and going from his residence, and he's restricted from using the Internet.
Ghosn oversaw the alliance between Nissan, Mitsubishi Motors, and French automaker Renault. But following his arrest, Nissan and Mitsubishi ousted him as chairman. Renault kept him in the top post, but he eventually resigned in January.
センテンスごとに学ぶ
冒頭のキャスターの言葉です。最初は日本の話題ですと述べたあと、where以下でその内容を説明しています。ボキャブラリーではbailを「保釈」という名詞として紹介していますが、on bailは「保釈されて」という熟語で、free on bailは「保釈されて自由の身になる」です。bailには動詞としての用法もあり、bail out ...としても「~を保釈する」です。また、bail outは「~を窮地から救い出す」という、経済ニュースで耳にする表現でもあります。例えば、bail out an ailing firm「倒産しそうな企業を救済する」のような文脈で用いられます。
behind barsは、文字どおりには「柵の向こう側で」という意味ですが、拘置所や刑務所などに収監されている状態を示す慣用句です。日本語で言う「鉄格子の中、塀の中、獄中で」に相当します。
post+金額で「(金額を)支払う、納める」を表せます。
walk out of ...は「~から出る、引きあげる」です。タイトルのreleased on bailや、センテンス1のfree on bailと同じく、保釈された状態を言い換えた表現です。
step outside「外に踏み出す」は前のセンテンスのwalk out of ...を言い換えたもので、「拘置所を出る」ことを示します。
in disguiseは「変装して、偽装して」という表現です。
worker's uniformは「作業員の服、作業着」です。work clothingやwork clothesなどでも表現できます。
indictは、発音に注意を要する単語です。目的語を取る他動詞で「~を起訴する」ですが、ここでは目的語であるGhosnが主語になって受身形になっています。for以下に容疑を続けることができます。
その内容がaggravated breach of trustで、これは日本の刑事司法における「特別背任」に相当します。単語ごとに分解すると、aggravated「悪質な」、breach「違反」、trust「信義則(信義誠実の原則)」です。
compensationには「賠償金、補償金、償い」という意味もありますが、ここでは「(役員に対する)報酬」という意味で、remuneration「報酬」と同義に使われています。どちらも難易度の高い単語です。
a number of ...は「多くの~」で、the number of ...「~の数」とは区別が必要です。
the 64-year-old「その64歳」はゴーン前会長を指しています。英語は同じ単語の繰り返しを嫌う傾向があり、表現を言い換える中で情報を加えていく書き方を特徴とします。
prohibit A from ...ingは「Aが~することを禁じる」です。
本文のcamerasは「監視カメラ」のことで、surveillance camerasや、security camerasと同じです。ここでのwatchは「見張る、監視する」、residenceは「住居」です。
restrict A from ...ingは、前のセンテンスのprohibitと同じ文型を取ります。「Aが~することを制限する」という意味です。
oversawは動詞oversee「監督する」の過去形で、その変化はsee「見る」と同じです。
allianceは「連合」と訳されますが、経済ニュースでは「企業連合」、あるいは最近では「アライアンス」とも呼ばれています。このニュースのような「3社連合」はthree-way allianceや、tripartite allianceなどと言い換えることもできます。
following ...は「~に続いて、~のあとに、~を受けて」という前置詞で、この用法ではafterと同じです。
oustは「追放する、失脚させる」という動詞で、ここでは会長職を解くことを示します。