2019年7月1日(月)
“原爆とは” 留学生が問う日米の温度差
STUDENT SPARKS DEBATE OVER MUSHROOM CLOUD LOGO
英語タイトルのSTUDENT SPARKS DEBATE OVER MUSHROOM CLOUD LOGOは「生徒が、キノコ雲のロゴをめぐって議論を巻き起こす」です。
日本人留学生が、留学先の高校のロゴマークに原子爆弾でできたキノコ雲が使われていることに疑問を感じ、校内向けの動画メッセージで生徒たちに問いかけました。それを地元紙が報道し、議論は学校の外に広がりました。
多くの日本人が、この交換留学生の勇気ある行動のおかげで、アメリカには今も原爆投下への貢献について誇りを感じている街があることを知り、衝撃を受けました。この機会に、戦争史観の違いについて改めて考えたいと思います。
(Nonoka Koga)
"Those who were bombed were civilians, not soldiers."
Koga made the video while she was studying at the high school as an exchange student. The logo was used all over the school.
The school is in the city of Richland. The city developed thanks to the nuclear industry. Plutonium for the atomic bomb dropped on Nagasaki was produced here. The word "atomic" is everywhere.
Koga's message sparked arguments. Some people said the school logo should be changed. Others said they were proud of the role the atomic bombs played in ending World War II.
センテンスごとに学ぶ
作品にby ...をつけることで、「~の手になる、~が制作した、~が作った」です。a painting by Banksyなら「バンクシーの手になる絵画」、a violin concerto by Mendelssohnなら「メンデルスゾーンのバイオリン協奏曲」です。
名詞のsparkは「火花」ですが、動詞で使うと「口火を切る」で、spark a debateは「論争を巻き起こす、論争に火をつける」という意味です。
疑問の声を上げたのは、福岡県出身の高校生、古賀野々華さんです。
アメリカにWashingtonは2つありますので、区別する必要があります。ニュースに登場する高校があるWashington State「ワシントン州」は、太平洋に面したアメリカ北西部の州です。首都のWashington D.C.から見ると、大陸の反対側に位置します。
mushroom cloudは、核爆発のあとに発生するキノコの形をした巨大な雲です。
sufferは、suffer from ...のようにfromを使うときと、sufferのあとに名詞を続けて使うときとがあります。「損害などを被る」というときはfromを使わずに、suffer a loss「損失をこうむる」、suffer damage「損害を受ける」、suffer a defeat「敗北を喫する」のように使います。この場合は、目的語の事態そのものが苦痛であり損害になります。suffer from ...はもう少し間接的で、「~に苦しむ、~で苦しむ、~のために苦しむ」といった感じです。何かの病気に苦しむというときは、suffer from+病名で表せます。
thatは「キノコ雲を学校のロゴに使うこと」を指しています。
古賀野々華さんが出演した動画で述べた一節です。動画の中ではこれ以外にも、"Should we have pride in killing innocent people?"「罪のない人たちの命を奪うことに誇りを感じるべきでしょうか?」など、さまざまな話をしています。
civilianは、軍や警察に所属する人に対しての「民間人」です。形容詞としての用法もあり、civilian controlと言えば「文民統制、シビリアンコントロール(文民である政治家が軍隊を統制すること)」です。また、civilian aircraft「民間機」は、military aircraft「軍用機」と対比される概念です。
exchange studentは「交換留学生」です。
古賀さんが疑問の声を上げたことから今回の動画メッセージが制作されたことを、Koga made the videoとしています。
古賀さんは、地元の人たちの原爆に対する考え方を学ぶ中で、みずからが原爆についてどう感じているかを伝えたいと思うようになったと話しています。そして、学校の教師やホストファミリーの後押しを受けて動画に出演し、自分の意見を伝えました。
ここでのdevelopは「発展する」という自動詞です。「発展させる、開発する」という他動詞としての意味でも使います。
thanks to ...は「~のおかげで、~の結果」です。
drop a bomb on ...は「~に爆弾を落とす」です。
The word "atomic" is everywhere.「『原子力』という言葉が至る所にある」とあるように、リッチランド市には例えばAtomic Bowlというボーリング場があったり、Atomic Auto Bodyという自動車修理工場があったり、またatomicを名称の一部に使っているレストランがatomic dessertなるデザートを提供していたりもします。
argumentは、debateと比べると、もう少し強い感情をぶつけ合っているニュアンスがあります。
「~する人々がいる一方で、~する人もいる」と対比を描写するときは、本文のSome (people) ...とセンテンス9のOthers ...をセットで使います。
(be) proud of ...は「~を誇りに思う」という表現です。
センテンスの構造が分かりにくければ、the atomic bombs played a role in ending World War II.(原爆は第2次世界大戦を終わらせるのに役割を果たした)としてみてください。語順を変えると、the role the atomic bombs played in ending World War II(第2次世界大戦を終わらせるのに原爆が果たした役割)です。
World War II「第2次世界大戦」は、world war twoと発音し、冠詞は付けません。もう1つの言い方にthe Second World Warがありますが、こちらはtheを付けます。