2019年7月4日(木)
フェイスブック 仮想通貨を発行へ
FACEBOOK TO LAUNCH CRYPTOCURRENCY 'LIBRA'
英語タイトルのFACEBOOK TO LAUNCH CRYPTOCURRENCY 'LIBRA'は「フェイスブックが仮想通貨を発行へ」です。近年登場した新語cryptocurrencyが、このニュースの大きなポイントになります。cryptoは「暗号化された」という意味で、currency「通貨」と結びついて、cryptocurrency「暗号通貨」と呼ばれます。デジタル暗号化技術を使った仮想通貨の一種です。
フェイスブックが「リブラ」と名付けられた仮想通貨を発行することを明らかにしました。買い物の決済や利用者間の送金、それに公共交通機関のパスなどとして利用できるサービスを提供するということです。最新の仮想通貨について、英語で話題にしてみましょう。
Officials say the new currency will allow companies and consumers to conduct money transfers and shopping payments. They say Libra will also be available through the company's own messaging platforms Messenger and WhatsApp. Facebook has more than 2 billion users worldwide.
Libra will use blockchain verification technology, but unlike other virtual currencies, it will be backed by reserves of real assets such as the U.S. dollar and government bonds to prevent fluctuations.
More than 20 American and European firms are set to participate as partners in governing the new digital coin. They include Visa, Mastercard, and ride-hailing firm Uber.
Not everyone is welcoming the move. Senior U.S. finance officials want Facebook to suspend its plans until Congress can study them more closely.
センテンスごとに学ぶ
企業におけるexecutiveは「幹部、重役」を指します。ここではFacebook「フェイスブック社」の幹部です。
形容詞ambitiousには「大きな望みをもった」という意味がありますが、計画などに用いる場合は「野心的な、意欲的な、壮大な」という訳語があてはまります。ただし、言外には「実現には多大な労力を要する困難な計画である」というニュアンスが含まれます。
ここでのdisruptは「混乱させる、乱す」です。
sectorは、製造業や金融業などを指す「業種」です。
ここでのtheyはセンテンス1のexecutives at Facebook、つまりフェイスブックを指しています。
launchはサービスを「始める」や、商品を「発売開始する」という意味で使われます。現在進行形をとっているのは、近い将来に始まることを表すためです。
英語タイトルにも出てきたcryptocurrencyは「暗号通貨」で、より広い意味を持つvirtual currency「仮想通貨」の一種です。フェイスブックはこの暗号通貨を「リブラ」と名付けました。
officialsは企業の役員などのことです。ここではセンテンス1に登場するexecutivesの言い換えで、つまりフェイスブックを指しています。
allow A to ...は「Aが~することを可能にする」という構文です。
transferには「移動、異動、転勤」など、人や物をほかの場所に移すという意味があり、money transferは「送金」です。
形容詞availableは、日常でもよく使われる便利な単語です。本文のように物やサービスがavailableな場合は「入手できる、利用できる」という意味になりますが、人がavailableな場合は「手が空いている、応対できる、会うことができる」という意味になります。Sorry, I am not available tomorrow.なら「ごめんなさい、明日は空いていません」です。
ここでのplatformは、情報技術分野の用語で「コンピューター利用の基盤となる技術やソフト・ハードの環境、ネットサービス、あるいはそれらの組み合わせ(動作環境)」を指し、ここでは具体的にはフェイスブックが提供する2つのアプリのことです。
blockchainは「ブロックチェーン」と呼ばれる安全性と匿名性の高い暗号化技術のことで、「ビットコイン」に代表される近年の仮想通貨の多くがこの技術を利用しています。
verificationは「認証」で、動詞形はverify「確認する、確かめる」です。
このセンテンスでは、virtual「仮想の」とreal「実在の」という単語が対義語として使われていることに注目しましょう。
government bondsは、通例は複数形で「国債」を指します。ちなみに、金融英語では「日本国債」をJGBs(Japanese government bonds)という略語で表すことがあります。
participate in ...は「~に参加する」です。本文では、as partners「提携企業として」が間に挿入されています。
the new digital coin「デジタルコイン」は、Libraを言い換えたものです。
hailは「(タクシーなどを)呼び止める」という動詞で、ride-hailing「車を呼び止める」は形容詞としてfirmを修飾しています。ride-hailing firmは「タクシー配車サービスを提供する企業」です。
not everyone ...は「部分否定」であることに注意しましょう。「みんなが~というわけではない」という意味です。同様に、not allとしても部分否定です。Not all students like math.なら「全ての生徒が数学を好きなわけではない」で、数学が苦手な生徒もいることを意味します。
senior officialは「政府高官」ですので、senior U.S. finance officialsは「金融分野の米国政府高官」です。具体的には、U.S. House Committee on Financial Services「米下院金融委員会」が、Maxine Waters議長名で声明を発表しています。
Congressは米国における国会、つまり「アメリカ連邦議会」です。同じ「国会」でも、日本ではDietと呼ばれています。
動詞suspendは、もともと「宙ぶらりんにする」で、そこから「一時停止にする、保留する、差し止める」などの意味に使われます。