2019年7月17日(水)
イラン ウラン濃縮度の制限を超過
IAEA CONFIRMS IRAN IN BREACH OF URANIUM CAP
英語タイトルのIAEAは「国際原子力機関」、in breach of ...は「~に違反して」、そしてcapは「上限、制限」という意味で、IAEA CONFIRMS IRAN IN BREACH OF URANIUM CAPは「国際原子力機関、イランがウラン濃縮度制限に違反したと確認」です。
今回は、イランがウラン濃縮活動について核合意で制限された基準を上回ったというニュースを見ていきます。イランの行動の背景にある国際事情について、英語で読み解いていきましょう。
Tehran said on Monday it is now enriching at a level of at least 4.5 percent, surpassing the 3.67-percent cap. Later the same day, the U.N.'s International Atomic Energy Agency said its inspectors had verified the announcement.
The nuclear watchdog is due to discuss a response at an extraordinary board meeting on Wednesday. France says it's sending a senior diplomat to Tehran this week in an attempt to defuse tensions.
Iran says it is enriching uranium at higher levels because it is not reaping the economic benefits promised under the 2015 nuclear deal, citing tough sanctions imposed by the U.S. Washington unilaterally pulled out of the agreement in May 2018, drawing widespread criticism.
センテンスごとに学ぶ
the United Nationsは「国際連合」ですが、しばしば頭文字をとってthe U.N.と表記されます。このような省略方法は、abbreviationと呼ばれます。
ここでのenrichは「(核燃料を)濃縮する」という特別な用法で、目的語に核燃料のuranium「ウラン」が続きます。
curbは「制限する、抑制する」です。
Tehranはイランの首都「テヘラン」ですが、その国の政府を首都で表現するという英文ニュース特有の用法が使われています。
at a level of ...は「~の水準で、~のレベルで」という表現です。
タイトルにもあるcapは「上限、制限」で、ここでは名詞です。capには「上限を定める、制限する」という動詞としての用法もあります。例えば、The company's 2020 budget will be capped at 5 billion yen.なら「その会社の2020年予算は50億円が上限とされるだろう」です。
the International Atomic Energy Agencyは「国際原子力機関」で、IAEAと表記されます。
発表内容の部分に助動詞hadが使われているのは、主文の動詞saidとの時制の違いを明確に示すためです。つまり、発表に先立って査察官が確認を行っていたということです。
watchdogは文字どおりには「番犬」ですが、ある問題についての「監視機関」を指します。IAEA=国際原子力機関は国際的な核の利用状況を監視する国連機関であることから、しばしばnuclear watchdogと呼ばれます。
discussは「議論する」で、目的語が直後に置かれる他動詞です。誤用でdiscuss about ...とする学習者が非常に多い単語です。
in an attempt to ...は「~しようとして、~するために」という決まったフレーズです。
defuseにはもともと「爆弾の信管を外す」という意味がありますが、これが転じて「危険を取り除く」や「事態を鎮静化させる」を意味するようになり、defuse tensions「緊張を緩和する」などの定型表現として使われています。
reapには「収穫する、刈る」などの意味もありますが、reap a benefit「恩恵を受ける」という表現があり、ここではそれにeconomic「経済的な」が加わったものと解釈しましょう。どのような経済的恩恵かというと、the economic benefits promised under the 2015 nuclear deal「2015年の核合意の下で約束された経済的恩恵」です。
citeは「言及する、挙げる、引き合いに出す」という動詞で、ここではイランが制限を超えてウランを濃縮している理由を挙げています。その背景は次のセンテンスで説明されます。
センテンス2のTehranと同様に、Washingtonは「アメリカ政府」を表しています。
pull out of ...は「~から離脱する、撤退する、引き上げる」などを意味する句動詞です。
widespreadは「広い範囲にわたった」という形容詞です。
去年5月にトランプ政権はイランとの核合意から離脱し、イラン産原油の輸入禁止などの経済制裁を再発動したことで、核合意によって約束されていた経済的な恩恵が得られなくなったというのがイランの言い分です。