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2019年8月5日(月)

ラジオ第2 2019年8月5日(月)の放送内容

アメリカ大学適性試験に大きな変更

SAT ADDS "ADVERSITY SCORE"

2019年5月17日のニュース

今週1週間は、アメリカのABCニュースを取り上げます。キャスターはごく普通の日常会話で語るので、ときに文法的な規範から外れることもありますが、あまり気にすることなく、解説を参考に生き生きとした英語に触れてください。
英語タイトルのSAT ADDS "ADVERSITY SCORE"は「SATの『逆境点数』を加算」です。日本でも、大学入学共通テストにおける英語民間試験導入で経済格差が大きな問題になると指摘されていますが、アメリカの大学入試では一体何が起こっているのでしょうか。
今回のニュースには、いくつもの熟語が出てきます。これらの表現を覚えて、大学入試のあり方について考えてみましょう。

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This morning, there's a big change for the SATs. A new system is giving test takers a score based on the hardships in their lives. The so-called adversity score is calculated from 1 to 100, factoring in the crime rate and poverty level in the students' neighborhood, as well as their parents' income. The College Board, which oversees the SAT, says race is not a factor in that scoring.

The scores will not be revealed to test takers, but schools will see the numbers when reviewing college applications. Fifty colleges and universities have already tested out the program, and the College Board plans to expand the score to 150 schools this fall.

The change comes with America's college admission system in the spotlight as dozens of wealthy parents face charges for allegedly paying large sums of money to get their kids into elite universities.
Some educators say the new scoring system is a step in the right direction, and helps level the playing field.
 

センテンスごとに学ぶ

センテンス 1
This morning, there's a big change for the SATs. A new system is giving test takers a score based on the hardships in their lives.cal
今朝お伝えするのは、SATについての重要な変更です。新方式は、生活の窮状によって受験生に点数を付与します。
解 説

SATの発表は5月16日で、それを翌日の17日朝のニュースで伝えているので、this morningと言っています。
SATは、もともとはScholastic Aptitude Testの略称でしたが、1990年にScholastic Assessment Testに変わり、現在はSATが使用されています。民間のCollege Board「カレッジボード」(米国大学協議会)がアメリカの大学への進学希望者を対象に行う、全国共通の「大学能力評価試験」で、日本では「大学進学適性試験、大学適性試験」などとも訳されています。毎年200万人が受験します。

センテンス 2
The so-called adversity score is calculated from 1 to 100, factoring in the crime rate and poverty level in the students' neighborhood, as well as their parents' income.cal
いわゆる「逆境点数」は、受験生が居住している地域の犯罪率や貧困水準、親の所得などを計算に入れて、1から100で算出されます。
解 説

so-calledは、本文のように通称・俗称を紹介するときに使います。ただし、文脈によっては「本来そう呼ぶに値しないが」と軽蔑・不信の念を込めて使うときもあり、例えばa so-called expertと言えば、話者(筆者)がその人を専門家として認めていないことを示唆します。
factor in ...は「~を計算に入れる」という意味です。
neighborhoodは「近所」、one's neighborhoodは「~の自宅近辺」です。「近所の人、隣人」ならneighborです。文脈によっては「隣国」を指します。
adversity score「逆境スコア」は、正式にはEnvironmental Context Dashboardと呼ばれます。
A as well as Bは、「BだけでなくAも」と覚えている人も多いと思いますが、必ずしもBよりAを強調しているとはかぎりません。本文の場合は、the crime rate and poverty levelの部分でandを使ったので、もう1回… and their parents' incomeとするとandが何と何を並列にしているのかが分かりにくくなります。そこで、A and B, as well as Cとして「(AとB)とC」を表現しています。

センテンス 3
The College Board, which oversees the SAT, says race is not a factor in that scoring.cal
SATを運営する「カレッジボード」によりますと、人種はこの採点法に算入される要素ではありません。
解 説

センテンス2ではfactorが動詞として使われていましたが、ここでは「要素」という意味の名詞です。
raceは「人種」です。adversity scoreに算入されるのは、センテンス2にあった3つを含む全15項目ですが、その中に「人種」は含まれません。

センテンス 4
The scores will not be revealed to test takers, but schools will see the numbers when reviewing college applications.cal
点数は受験者には開示されませんが、学校側は入学願書を審査するときに数字を見ます。
解 説

「再び、逆に」を意味する接頭辞reとvelum 「覆い、ベール」(veil)から成るrevealは、「覆いを取る、ベールを取る」、転じて「(これまで非公開にしてきたものや隠れていたものを)明らかにする、公開する」という意味です。
numbersは、scoresの言い換えになっています。
applicationには「適用、応用」という意味もありますが、ここでは「願書」です。

センテンス 5
Fifty colleges and universities have already tested out the program, and the College Board plans to expand the score to 150 schools this fall.cal
50の大学がすでにこのプログラムを試しており、「カレッジボード」は今秋、この(逆境)点の採用校を150に拡大する考えです。
解 説

collegeは、米国では、広義に「大学」一般を指す場合と、総合大学の「学部」や「単科大学」を指す場合があります。英国では、オックスフォード大学やケンブリッジ大学などの総合大学を構成する独立した「コレッジ(カレッジ)」を指す場合と、「専門学校」を指す場合があります。ここでのcolleges and universitiesは、広く一般に「大学」と考えてよいでしょう。
test outは「~を試す、~を試行する」です。
全ての大学がこの方式の採用を決めているわけではありません。出願者の個人情報はすでに十分あるので、こうした評価方式の必要を感じないとしている大学もあります。

センテンス 6
The change comes with America's college admission system in the spotlight as dozens of wealthy parents face charges for allegedly paying large sums of money to get their kids into elite universities.cal
この変更は、数十人の裕福な親が我が子を一流大学に入れるために大金を支払ったとして告発され、アメリカの大学入学者選考が注目を集めたことに端を発します。
解 説

このセンテンスは、SATの採点制度変更の背景について述べています。
faceは動詞で「直面する」、chargeは名詞で「告訴、告発」で、face chargesは「告訴される」という意味です。
主節はthe change comes「変更が生じる」です。with から先は、その状況を述べています。
with ... in the spotlightは「~が注目を集めている状況で」といった感じです。spotlightは、文字どおりには照明の「スポットライト」ですが、(be) in the spotlightは「注目を集めて、脚光を浴びて」という表現です。
今年3月、有名女優や企業の最高経営責任者など50人以上が、自分の子どもをアメリカの名門大学に入学させるために合計で2,500万ドル(約28億円)を支払ったことが明るみに出て、大問題になりました。賄賂を使い、SATなどの学力テストで替え玉受験をさせたり、誤答を正解にこっそり直してもらったり、 運動選手であるかのように偽ってスポーツ推薦を得たり、学習障害を装い時間を延長してもらったりした不正が2011年頃から続いていたのが、暴露され裁判になったのです。

センテンス 7
Some educators say the new scoring system is a step in the right direction, and helps level the playing field.cal
教育関係者の中には、この新採点方式は正しい方向に踏み出す一歩であり、競争の条件を平等にする一助になると話す人もいます。
解 説

the right directionは「正しい方向」で、stepは「一歩、二歩」の「歩」です。a step in the right directionは「正しい方向に踏み出す一歩」という熟語表現です。
playing fieldは「競技場」ですが、サッカーやテニスの競技場にもし傾斜がついていたら有利・不利が生じてしまいます。競技場は水平でないといけません。ここでのlevelは「平らにする、水平にする」という意味の動詞で、level the playing fieldは「競争の条件を平等にする」という意味の熟語です。なおlevelには、形容詞として「水平な」という意味があります。a level playing field と言えば「水平な競技場」、つまり「公平な競争条件」です。
このセンテンスで述べられているのは例えば、貧困地区の一人親家庭で育った子が、与えられた境遇で精いっぱい努力してある成績を出したなら、その成績を境遇の恵まれた子の成績より高く評価することが「競争の条件を平等にする」助けになるということです。このような考えに対し、学力テストでは純粋に学力だけを見るべきだという主張も多く、この新システムには賛否両論があります。