2019年8月23日(金)
東京五輪・パラの暑さ対策は逆効果?
ANTI-HEAT MEASURE MAY HAVE OPPOSITE EFFECT
英語タイトルのANTI-HEAT MEASURE MAY HAVE OPPOSITE EFFECTは「暑さ対策が逆効果になる可能性」です。
今回のニュースは、東京オリンピック・パラリンピックに向けた暑さ対策が、逆効果になる可能性もあるという研究結果を報じています。道路の表面温度を下げるとして整備が進められている「遮熱性舗装」の効果を専門家が検証した結果、人が立つ高さの気温は通常の舗装よりも上がるケースがあったことが分かりました。
暑さを緩和するための対策と効果について、関連する英語表現を学びましょう。
A group of researchers at the Tokyo University of Agriculture, led by Professor Osamu Kashimura, compared normal and coated roads on sunny days this month and in July to evaluate the coating's effectiveness. The results show when measured at the heights of 50, 150, and 200 centimeters, average temperatures on the coated roads were actually higher.
The Tokyo Metropolitan and central governments are applying a special coating to more than 100 kilometers of roads, including the Olympic marathon course. Land ministry officials say athletes who ran on the coated roads reported that they felt cooler.
センテンスごとに学ぶ
apply A to ...は「Aを~に適用する、応用する、塗る」です。
coatingは「上塗り、塗装、衣、コーティング」です。special coating「特別なコーティング」は、薬の錠剤などの表面についても使われますが、このニュースでは道路の表面温度を下げるとして整備が進められている「遮熱性舗装」のことです。道路の「遮熱性舗装」は、路面に白などの塗装を施し太陽光を反射させることで、表面温度の上昇を抑える対策です。
surfaceは「表面」、temperatureは「温度」です。
ここでのmeasureは「対策、措置」という名詞で、anti-heat measureは「暑さ対策」です。this anti-heat measure「この暑さ対策」は、前の文に登場した「遮熱性舗装」を指しています。
oppositeは「反対の、逆の」で、opposite effectは「反対の効果、逆効果」です。
compareは「比較する」です。名詞形は、comparison「比較」です。
normal road「通常の道路」は通常の舗装の道路、coated road「塗装された道路」は遮熱性舗装の道路のことを示しています。
evaluateは「評価する」です。名詞形は、evaluation「評価」です。
effectivenessは、effective「効果的な、有効な」の名詞形で、「効果、効力、有効性」です。
センテンス2には「対策、措置」という名詞としてmeasureが出てきましたが、ここでのmeasureは「計測する」という動詞です。
heightは、形容詞high「高い」の名詞形で、「高さ」です。at the height of ...は「~の高さで」という表現です。
averageは「平均の」で、average temperatureは「平均温度、平均気温」です。
計測した結果、「遮熱性舗装」を施した表面温度は「通常の舗装」に比べて10度前後低くなり、これまでの国などの調査と同じような傾向でした。しかし「遮熱性舗装」の上の空間は、特に日射が強かった日には平均の気温が1.5度前後高くなり、最大で3度以上高い時間帯もあったほか、熱中症を予防するための指標となる「暑さ指数」も高くなりました。
metropolitanは「首都(の)」で、Tokyo Metropolitan governmentは「東京都庁」です。一方、central government「中央政府」は、ここでは日本政府を指しています。
more than ...を数字の前に付けると、「~を超える」を表します。
樫村教授は、「遮熱性舗装」は太陽光を反射させやすいため、表面温度は下がる一方、反射した熱の影響で人が立つ高さでは気温が上昇したと分析しています。そのうえで、「遮熱性舗装は熱中症のリスクを減らすと言われてきたが、昼間の日射があるときには逆効果で、オリンピックでは選手や観客などのリスクを高めることが考えられる。国や東京都は、このデータを受け止め、遮熱性舗装の効果を検証するとともに対策を立ててほしい」と指摘しています。
ここでのLand ministry officialは「国土交通省の職員」です。省名の正式な英訳は、Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourismで、MLITと省略されることもあります。
athleteは「運動選手、アスリート」です。
一方、国土交通省も「遮熱性舗装」と「通常の舗装」の違いについて、2016年にそれぞれの道路上の空間の「暑さ指数」を調査して比較した結果を公表しています。それによると、時間帯によって「遮熱性舗装」のほうが高くなっているものの、調査で誤差が出やすく、おおむね1度以内の差で収まっているなどとして、「有意な差とは言えない」と結論づけています。そのうえで、「アスリートが実際に走って温度を低く感じたと評価されるなど、さまざまな調査を総合すると、遮熱性舗装には暑さを緩和する効果があると考えている」とコメントしています。