2019年8月28日(水)
“ヨーロッパ・ピクニック計画”から30年
HUNGARY MARKS 1989 FREEDOM 'PICNIC'
英語タイトルのHUNGARY MARKS 1989 FREEDOM 'PICNIC'は「ハンガリーで1989年の『ヨーロッパ・ピクニック計画』を記念する」という意味です。freedom picnicは1989年8月19日にハンガリーで開かれた民主化を求める政治集会(Pan-European Picnic「ヨーロッパ・ピクニック計画」)のことで、ベルリンの壁崩壊につながり、冷戦の終結やその後のヨーロッパ統合への流れに影響を与えた歴史的な出来事として知られています。
ニュース本文に出てくるcommemorate、appreciate、overcomeなどの英単語に注目して、このニュースを学びましょう。
On August 19, 1989, more than 600 East Germans escaped across the border with Austria through a gate that was temporarily opened. It was a turning point leading to the fall of the Berlin Wall.
A ceremony was held on Monday in Sopron, western Hungary. Prime Minister Viktor Orban and German Chancellor Angela Merkel were there.
(Angela Merkel / German Chancellor)
"Germans greatly appreciate Hungary's contribution to overcoming the past divisions of Europe."
At a nearby museum was a man who fled to the west. Footage shows him escaping along with his daughter, who was just two years old at the time.
(Former East German refugee)
"The escape was a risky gamble for us, but we had no other option. But everything turned out well."
センテンスごとに学ぶ
commemorateは「祝う、記念する」で、場合によっては戦争や災禍などで亡くなった人々を「追悼する」という意味を含みます。類語にcelebrateがありますが、こちらは祝賀のニュアンスが中心です。
be known as ...は「~として知られている」です。
Pan-European Picnic「汎ヨーロッパ・ピクニック、ヨーロッパ・ピクニック計画」は、冷戦末期のハンガリーで民主化を求める人たちや当時の政権の中枢がひそかに考え出した旧東ドイツの人たちを西側へ脱出させる計画です。参加者がピクニックを開き将来のヨーロッパ統合について語り合うという名目で行われた集会のさなか、会場近くの国境のゲートが一時的に開放され、ひそかに計画を知った旧東ドイツの人たちが一気に西側へ脱出しました。
fleeは「脱出する」で、「急いで逃げる」というニュアンスがあります。flee-fled-fledと変化します。
in the final days of ...は「~の末期に」という表現です。
borderは「国境、境界線」です。
temporarilyは「一時的に」という副詞です。
当時、東側だったハンガリーには、オーストリアを経由して西ドイツに行こうと考える東ドイツの人たちが多く集まっていました。
turning pointは「転換点」、lead to ...は「~につながる」です。
ここでのfallは「崩壊」という意味です。
「ヨーロッパ・ピクニック計画」をきっかけに、ハンガリー政府は翌月の9月、国境を公式に開放、ヨーロッパを東西に分断していた「鉄のカーテン」は事実上消滅し、それから2か月余り後には東西分断の象徴だった「ベルリンの壁」が崩壊しました。
ceremonyは「式典」です。
ハンガリーの首相はオルバン・ビクトル氏です。ハンガリーの姓名表記は本来「姓・名」の順で、日本と同様です。
chancellorは、ドイツの「首相」を表す語です。
「ピクニック計画」の舞台となったのがハンガリー西部の夏のリゾート地ショプロンでした。ショプロンは、オーストリアとの国境沿いに位置します。
メルケル首相の式典の言葉を英訳したものです。メルケル首相は東ドイツの出身です。
appreciateは「感謝する」、contributionは「貢献」です。
overcomeは「克服する」です。
nearbyは「近くの」という意味で、ここでは「ピクニック計画」の舞台となったショプロンの国境近くを示しています。
footageは「映像」で、出来事を記録したフィルム映像のことです。
along with ...は「~と一緒に」です。
ピクニック計画に参加して西側へ脱出した旧東ドイツ出身の男性の言葉を英訳したものです。
riskyは「危険な」、gambleは「賭け」です。
optionは「選択肢」です。
ここでのturn out ...は「~という結果になる」という意味の句動詞です。