2019年11月21日(木)
英語民間試験 導入延期
UNIVERSITY TEST WOES DOMINATE DIET DEBATE
英語タイトルのUNIVERSITY TEST WOES DOMINATE DIET DEBATEは「大学入試の問題が国会議論を独占」です。woesは「悩みの種」という意味です。
文部科学省が大学入学共通テストへの英語民間試験の導入の延期を発表しましたが、11月7日の参議院文教科学委員会では、延期決定までの経緯や、国語と数学に導入される記述式の問題の採点などについて質問が相次ぎました。
今回のニュースを通して、問題を指摘し追及する側の言動を伝える語彙・表現を学びましょう。
Education Minister Koichi Hagiuda made the sudden announcement last week.
Many academic institutions raised concerns the exams discriminate against some students. They complained the privately-run tests are too expensive and also vary in their level of difficulty.
During Thursday's Diet session, lawmakers grilled the minister on why such a seemingly flawed system was developed. But he was only appointed to the position in September's Cabinet reshuffle.
Former Education Minister Hakubun Shimomura was in charge of the file for three years. He's currently facing another controversy — allegations he had a "cozy relationship" with one of the companies administering the planned tests.
センテンスごとに学ぶ
demand to ...は「~することを要求する」です。本文のdemand to know ...は「~を知ることを要求する」、つまり「~について詰問する」です。
ledはlead「つながる」の過去形で、lead up to ...は「~につながる、~という結果に至る」です。what led up to ...「何が~につながったか」は、つまり「ここに至った経緯」です。
日本語になっている「スキャンダル」は主に男女関係での不品行のうわさ話を連想させますが、英語のscandalはそれだけでなく、道徳的、法的、社会的に受け入れられない行動や出来事全般について使います。ここでは、大学入学共通テストへの英語民間試験導入が政治判断で延期となった事態とともに、民間試験活用が不透明な経緯で決まったことも含めてscandalと表現しています。
introductionは「紹介」として使うこともありますが、ここでは「導入」という意味です。
the introduction of a new English language test「新しい英語試験の導入」は、正確には「新たな民間英語試験の導入」を指しています。大学入試センターによる英語試験は実施され、延期されたのは、それとは別に導入予定だったTOEFL、IELTS、英検、GTECなどの「民間事業者による英語試験」です。
(be) set to ...は「~することになっている、~する予定になっている」です。
roll outは、文字どおりには「転がり出る」ですが、ここでは「(本格的に)始まる、展開する」といった感じです。
現行のセンター入試に変わる新たな「大学入学共通テスト」は2021年1月に実施ですが、英語民間試験は前年の2020年4月から12月の間に実施される予定でした。
「文部科学大臣」の正式な英訳は、Minister of Education, Culture, Sports, Science and Technologyという大変長いものです。略式で、education ministerです。
suddenは、センテンス2に出てきたabruptlyの形容詞形abruptの類語です。abruptもsuddenも「突然の、予期せぬ」という意味は共通ですが、abruptの方は概して好ましくない、不快な急展開について使います。
academic institution「学術機関」は研究機関や高等教育機関を指すことが多いのですが、このニュースでは主に高校です。全国高等学校長協会も、文科省に対して「不安の解消」「制度の見直し」を求めました。
raise concernsは「懸念を表明する、懸念を提起する、懸念をもたらす」という表現です。concernは多くの場合、concernsと複数形にして使います。
concernsのあとに、S(主語)+V(動詞)が続いています。「SがVするという懸念」です。
discriminate against ...は「~を不利にする、~を不利に扱う」という意味です。
民間試験は高額なうえ、地域によっては試験会場がないため、経済格差や地域格差が問題となっていました。
runには「経営する、運営する」という意味があり、privately-runは「民間で運営される」です。反対は publicly-run「公的に運営される、公設の」です。また、state-runと言えば「国家によって運営されている、国営の」です。センター入試と同様、新共通テストは国が運営する試験なので、state-runです。そこに英語だけprivately-run tests「民間事業者による試験」が導入されようとしたわけです。
vary in their level of difficulty「難易度に差がある、違いがある」は、7種類の試験がそれぞれ別の6業者によって運営され、内容や難易度が異なることを指しています。1回の受験料も6,000円前後から2万数千円と違いがあります。
「~に違いがある、~の点で異なる」を表すのに、vary in ...が使えます。例えば、vary in colorなら「色に違いがある」、vary in lengthなら「長さにばらつきがある」です。
grillは、文字どおりには「(特に下からの)直火であぶる、(肉・魚などを)網焼きにする」ですが、本文のようにgrill A on (またはabout) ...の形で人(A)を目的語にとって、比喩的に「厳しく尋問する、質問攻めにする、追及する」という意味で使うこともあります。
seeminglyは「見た目には、聞いたところでは、どうやら」という意味です。
名詞のflawは「欠陥、欠点、不具合」です。これに「~がある」という意味の形容詞を作る接尾辞-edが付いたflawedは「欠陥のある」です。同じ作りの形容詞に、bearded「ひげのある」、warm-hearted「心の温かい」などがあります。
appoint A to ...は「Aを~に任命(指名)する」です。ここでは受け身になっています。
「トランプカードを切る」ことをshuffle the cardsと言いますが、ここから「人員を入れ替える、人事を刷新する、(組織を)再編する」という意味で、shuffleまたはreshuffleを使います。名詞と動詞どちらの用法もあり、本文のCabinet reshuffleは「内閣改造」で、reshuffle a Cabinetなら「内閣を改造する」です。
be in charge of ...は「~を担当して、~を管理して」という表現です。
fileは、特定の人物や案件についての情報を綴じ込んだ「ファイル」です。ここでのthe fileは「本件」といった感じです。
下村博文氏は5代前の文部科学大臣で、2012年12月から2015年10月まで在任し、英語民間試験制度導入を推進しました。
controversyは「論争、議論」ですが、ここでは民間業者との癒着報道で物議を醸していることを示しています。
動詞allegeは「(証拠を提示せずに)事実だと主張する」で、そうした訴えや主張をallegationと言いますが、ここでは「疑惑」という意味です。
cozy relationshipは「なれ合い関係、癒着」です。
administerは、testやexamination(試験、検査)を「実施する」というときに使われます。