2019年12月25日(水)
米中貿易交渉 第1段階で合意
U.S., CHINA AGREE TO 'PHASE ONE' TRADE DEAL
英語タイトルのU.S., CHINA AGREE TO 'PHASE ONE' TRADE DEALは「米中、『第1段階』貿易協定で合意」です。
米中の貿易交渉は第1段階の合意に達し、アメリカ政府は中国の輸入品に上乗せしている関税の一部を引き下げると発表しました。ただ、合意の内容や今後の交渉については、双方の認識にずれが見られ、貿易をめぐる対立が緩和に向かうのかは、不透明です。
今回のニュースで、関税の施行、税率、引き下げ、削減、追加など、貿易交渉に関連する語彙・表現を学びましょう。
The Office of the U.S. Trade Representative described the agreement as "historic and enforceable." It says the deal covers intellectual property and technology transfers, along with a Chinese commitment to make "substantial additional purchases" of American goods.
The statement says the U.S. will maintain a 25-percent tariff on 250 billion dollars' worth of Chinese imports. But it says it will reduce levies on a 120-billion-dollar portion by half, from 15 to 7.5 percent.
Washington has also decided to cancel additional tariffs on smartphones and other products that were due to take effect this Sunday.
(Donald Trump / U.S. President)
"That's going to be one of the great deals ever. And it's going to ultimately lead to the opening of China."
President Donald Trump said the deal ensures Chinese farm purchases would hit 50 billion dollars a year. But Americans are divided over the agreement.
センテンスごとに学ぶ
phaseは「局面」で、変化・発展のある過程の一段階をいいます。「反抗期」をrebellious phaseと言うこともありますし、「新たな段階に入る」ならenter a new phaseで表せます。
imposeは「課す」で、喜ばしくないものや自由を奪うものなどを強制するという意味で使われます。本文のtariff「関税」のほか、tax「税金」、punishment「処罰」、rule「規則」などをよく目的語にとります。
describeは、物や出来事の印象を言葉で鮮明に伝えることです。describe A as Bは「AをBと描写する、AをBと評する」です。
動詞enforceは「(規則を)強制する、(法律を)施行する」です。これに「可能な」を意味する接尾辞–ableが付いた形容詞enforceableは「(法律や規制などを)強制できる、実施できる」です。ここではアメリカ政府として、この合意をenforceable「実施できる」ものと捉えていることを表現しています。
intellectual propertyは「知的財産(権)」です。しばしば、IPと略されます。
technology transferは「技術移転」です。アメリカ側は貿易協議において、中国が外国企業に技術移転を強要してきたとし、その是正を強く求めてきました。
動詞commitの重要な意味のひとつは「(必ずやり遂げると)誓約する」です。本文のcommitmentはその名詞形で「誓約、(契約上の)義務」です。
American goods「アメリカ製品」とは、具体的には主にアメリカ産の農産品を指しています。
直前のセンテンスでは、アメリカ通商代表部が今回の合意をenforceable「実施可能」としていると述べられていましたが、中国側はアメリカの農産品の購入を中国政府が約束するものではないとの認識を示しており、アメリカ側とのずれがうかがえます。
one billionは「10億」ですから、250 billionは「2,500億」です。
importは動詞としても名詞としても使います。名詞では「輸入」ですが、「輸入品、輸入総額、輸入量」を指すときは、本文のようにsを付けてimportsとします。
ここでのworthは「(述べられている金額に)相当する数量」という意味の名詞です。
levyは「課金、課税」です。なお、センテンス1で出てきたimpose「課す」は、levy を目的語に取ることもあります。levyはまた、動詞としても使います。levy a tariff on ...なら「~に関税をかける」です。
reduce ... by halfは「~を半分に減らす」です。
アメリカは、9月1日に発動した輸入額1,200億ドルに相当する品目の追加関税率を、15%から7.5%に引き下げることで合意しました。
be due to ...は「~することになっている、~する予定になっている」です。未来を表すのに、いつもto do ...の形を使うとはかぎりません。例えば、She is due to graduate in September.なら「彼女は9月に卒業する予定だ」です。
take effectは「発効する」です。come into effectで言い換えることもできます。
ドナルド・トランプ大統領の言葉です。
代名詞の使い方ですが、まず指示代名詞thatを使って、話題の焦点を貿易協定に絞り込みます。引き続き同じ対象を指すとき、つまりすでに焦点の中にある対象を指すときは、it を使います。先にthat(またはthis)、それからitの順になります。
ここでのeverは、強調のために使われています。本文ではone of the great deals everですが、one of the greatest deals everのように最上級に添えることが多い語です。
lead to ...は「~につながる、~に至る」です。
farm purchaseは「農産品購入」です。
ここでのhitは「(ある数値、水準、程度に)達する」という意味です。例えば、The temperature hit a low of minus 16 degrees Celsius.「摂氏マイナス16度の最低気温に達した」や、The unemployment rate hit an all-time high of 20 percent.「失業率は過去最悪の20%をつけた」のように使えます。
ensureにS(主語)+V(動詞)を続けて、「~することを確実にする、確実に~する(なる)ようにする」です。
センテンス3と同じように、この内容もトランプ大統領(アメリカ政府側)の主張であり、中国政府としては約束していないとしています。
賛否があることや意見が「割れている」と言いたいときに、このbe dividedが使えます。例えば、The education board is divided over the proposal.なら「教育委員会はその提案をめぐって意見が割れている」です。
今回の発表に対しては、アメリカ最大の経済団体全米商工会議所は「非常に前向きな進展だ」と述べ、支持を表明しましたが、一方で、野党・民主党からは弱腰だという批判も出るなど賛否が分かれていて、来年の大統領選挙に向け、トランプ大統領の思惑どおりに支持の広がりにつながるかは見通しにくい状況です。