2019年12月27日(金)
共通テスト 記述式の導入見送り
UNIVERSITY ENTRANCE EXAM REFORM ON HOLD
英語タイトルのreformは「改革」、on holdは「保留、延期」という意味なので、UNIVERSITY ENTRANCE EXAM REFORM ON HOLDは「大学入試改革は見送り」です。
大学入学共通テストでの記述式問題について、萩生田文部科学大臣は、当初予定していた再来年1月からの導入を見送ることを発表しました。
記述式問題は、なぜ見送られることになったのでしょうか。大学入学共通テストをめぐる混乱を英語で学習してみましょう。
Koichi Hagiuda apologized for causing inconvenience to students, parents, teachers, and everyone involved in the exams.
The education ministry was planning to introduce portions that require written answers, along with traditional multiple-choice questions. The goal was to better grasp the applicants' reasoning abilities.
But there were concerns over how the answers would be checked. A private firm contractor had planned to hire 10,000 exam-graders, including students, to mark the tests.
The education ministry has been working to revise the admission process for years. The introduction of the written-answer format was one of two reform pillars.
センテンスごとに学ぶ
education ministerは「文部科学大臣」のことで、正式にはMinister of Education, Culture, Sports, Science and Technologyと言います。
portionは「部分」という意味で、written-answer portionは「(問題のうち)書いて答える部分」、つまり「記述式問題」のことです。
the country's「その国の」とは、「日本の」ということです。
standardizedは「(試験などが)標準化された、統一された」という意味で、standardized testは「標準試験」です。standardized entrance exams for universitiesは、現行の大学入試センター試験の後継である「大学入学共通テスト」を、「統一テスト」と表現しているものです。
冒頭のthe change「この変更」は、「記述式問題を入れる変更」ということです。
be scheduled to ...は「~する予定である」という表現です。
just over a year from nowは「今からちょうど1年あまりで」という意味です。新共通テストは、2021年1月の実施です。
the decision「この決定」とは、文部科学大臣の「記述式問題の導入を見送るとした決定」を指しています。
affectは「影響を与える、影響を及ぼす」です。
hundreds of thousands of ...は「何十万の~、数十万の~」という表現です。センター入試(2021年からは「共通テスト」)は国立大学受験に必須で、私立大学も多く活用していることから、毎年50万人以上が受験します。
ここでのstudentは「高校の生徒」ですが、より広く「受験生」を指していると考えられます。
preparing for ...は「~の準備をしている」です。
センテンス1に出てきたeducation ministerが、ここに登場する萩生田光一文部科学大臣です。
apologize for ...は「~のことで謝罪する」です。
cause inconvenience to ...は「~に対して迷惑をかける」です。
parentsは「両親」ですが、ここでは「保護者」という意味で使われています。
everyone involved in the examsは「試験に関係した全ての人」です。
the education ministryは「文部科学省」です。正式名称は、the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technologyと言います。
portions that require written answersは「書く解答を必要とする問題部分」、つまり「記述式問題」です。
along with ...は「~と共に、~に加えて」という意味です。
traditionalは「伝統的な、従来からの」です。
multiple-choice questionは「多項選択式問題」です。multipleには「多数の、多数から成る、多様な」などの意味があります。
ここでのgraspは「把握する、理解する」です。
applicantは「志願者、受験者」です。
reasoning abilityは「論理的思考能力」のことです。新学習指導要領における柱が「思考力・判断力・表現力」であることから、今回の大学入試改革では、論理的思考力と表現力を測るために記述式問題導入を決めました。
concerns over ...は「~についての懸念」です。
how the answers would be checkedは「解答がどのように採点されるのか」です。
a private firm contractorは、入札で採点業務を請け負うことになった「民間業者」を指していて、一社なのでa が付いています。実際にはベネッセの子会社が落札していました。
exam-graderは「試験採点者」です。
50万人の答案を20日間で手採点するには1万人の採点者が必要なため、大学生アルバイトも使うとしたことに対し、採点ミスや秘密漏えいの懸念などから厳しい批判が出ました。
reviseは「変更する、修正する、変える」です。
admissionは、ここでは「入学許可」を指しています。admissions officeと言えば、大学の「入学選考事務局」です。
processは「過程、手順」などです。
for yearsは「何年間も」です。中曽根康弘総理大臣(当時)が設置した臨時教育審議会の第一次答申(1985年)で、すでに大学入試改革が提案されていました。今回の案が具体化したのは2013年のことです。
written-answer formatは「記述式解答の形式」で、記述式問題のことを指しています。
two reform pillars「2つの改革の柱」とは、大学入試改革で導入されるはずだった英語の民間試験と、国語と数学の記述式問題のことです。英語の民間試験については、英語の「4技能」を測定する目的で7種類の民間試験が利用されることになっていましたが、制度設計の不備への反発が強く、経済格差や地域格差などの課題が払拭できないとして11月1日に突然、導入が延期されました。