2020年1月27日(月)
津波で不明の恵比寿像 引き揚げ
EBISU STATUE BACK ON DRY LAND AFTER 9 YEARS
英語タイトルのEBISU STATUE BACK ON DRY LAND AFTER 9 YEARSは「恵比寿像が9年後に陸地に戻る」です。back on ...は「~の上に戻る」、dry landは「陸地」です。landだけでも「陸」という意味になりますが、海から陸に戻ったという内容を表すため、あえてdryを付けています。
宮城県気仙沼市で港の繁栄をもたらすとして長年まつられ、東日本大震災の津波で流された「恵比寿像」が海中で見つかり、引き揚げ作業が行われました。
今回のニュースで恵比寿像がどのような英語で説明されているかに注目し、関連の表現を学びましょう。
On Tuesday, divers placed a net around Ebisu before hoisting him from a depth of five meters. The copper deity resurfaced relatively unscathed — save for a broken fishing rod in his right hand. He was found by construction workers last November, about 25 meters off the shore of Kesennuma in Miyagi Prefecture.
The locals have worshipped Ebisu ever since a statue was first erected on a cape in 1932. The god represents prosperity and fortune, making him especially popular with fishermen.
(Kenji Shirai / President of Fishery processing company)
"I hope the statue's return blesses us with a bountiful haul this year, just like in the old days."
Ebisu will be moved to Isuzu Shrine, where visitors can welcome his return.
センテンスごとに学ぶ
Japan's god of fortune「日本の福の神」は、このニュースでは豊漁の神、七福神の「えびす様」を指しています。この名前は次のセンテンスで出てきます。
the March 2011 tsunamiは、2011年3月11日に発生した東日本大震災の際の津波のことです。tsunami「津波」は、英語でも使われる単語です。
このニュースでのhimは、Ebisu「恵比寿像」を指しています。通常、statue「像」の代名詞としてはitが使用されますが、ここでは地元の人々に親しまれてきた恵比寿像が擬人化されてhimが使われています。人以外に動物に関しても、名前があり性別が分かっている単数の動物にはhe/she(him/her)が使われ、名前がなく性別が分からない場合はitが使われます。
the copper deity「銅製の神」は、ここでは「恵比寿像」を指しています。copperは「銅」という名詞ですが、「銅製の」と形容詞的に使われています。
saveには「~を除いて、~のほかは」という前置詞の用法があります。save forは、except forと同じように使われます。
offは「沖に」で、about 25 meters off the shoreは「海岸から約25メートル離れて」、つまり25メートル沖となります。
the localsは「地元の人々」です。
first erectedは「初めて建てられた」です。初代の恵比寿像は1932年に設置されましたが、軍に回収されました。弾丸に使用するためだったと言われています。戦後、地元の漁業者らの支援で1988年に、念願だった2代目の像(今回引き揚げられた像)ができたそうです。
the godは「えびすの神、えびす様」を指しています。七福神の神のうちのひとつで、多神教の神を表しているので、godと小文字で表記しています。一方、キリスト教やイスラム教のように一神教では通例、Godと頭の文字を大文字で表記します。
地元の水産関係の会社の会長、臼井賢志さんの言葉を英訳したものです。
ここでのblessは「もたらす、恵む」という意味です。
bountiful haulは「豊漁、大漁」です。
臼井さんは震災後に会社を再建していく中で、地元のシンボルだった「恵比寿像」は漁業の町・気仙沼の復興には欠かせない存在だとして行方を探すことにしました。ほかの漁業関係者とともに、ボランティアのダイバーなどに協力してもらい周辺の海を数回にわたって捜索しましたが、そのときは見つけることができなかったということです。