2020年1月31日(金)
中国経済の減速 鮮明に
CHINA'S GDP GROWTH AT 6.1%, LOWEST IN 29 YEARS
英語タイトルのCHINA'S GDP GROWTH AT 6.1%, LOWEST IN 29 YEARSは「中国の国内総生産の伸び率は6.1%、過去29年間で最低」です。
中国の去年のGDP=国内総生産は、前の年と比べた伸び率がプラス6.1%にとどまり、前の年の伸び率を2年続けて下回って、1990年以来29年ぶりの低い水準となりました。
このニュースに登場する多くの経済用語に注意して、最新の米中の経済関係を見ていきましょう。
China's National Bureau of Statistics says the economy expanded 6.1 percent in 2019. That's the lowest rate for the world's second-largest economy since 1990, following the Tiananmen Square incident.
The trade row knocked capital investment in the manufacturing industry. In the meantime, consumers tightened their purse strings, with sales of new cars on a decline.
The spread of African swine fever pushed up prices of pork, triggering concerns that a less-affordable staple could harm the economy overall.
China officially signed a "phase one" trade deal with the U.S. on Wednesday. But most of the U.S. tariffs on Chinese imports remain in place. The prospect of "phase two" remains murky.
センテンスごとに学ぶ
GDPはgross domestic product「国内総生産」の頭文字をとったもので、国の経済成長を測る基本的な指標です。
has fallen to its slowest paceは「最も遅い速度にまで下がった」ですが、主語のGDP growth「国内総生産の伸び率」を受けて「最も低い水準に下落した」と訳せます。
ここでのafter ...は「~に続いて、~を経て、~を受けて」を表します。
trade disputeは「貿易紛争」です。なお、報道で盛んに使われる米中の「貿易戦争」は、英語でもtrade warと表現されています。
National Bureau of Statisticsは、中国の政府機関「国家統計局」のことです。statisticsは通例、複数扱いで「統計資料、統計データ」という意味です。
expandは「拡大する」です。反対に「縮小する」と言う場合、経済用語ではcontractやshrinkという動詞がよく使われます。例えば、The third-quarter GDP contracted by 0.2% from the previous quarter.なら「第3四半期GDPは前期比0.2%縮小した」です。
文頭のthatは、前のセンテンスに出てきた中国のGDP成長率が6.1%であったことを指しています。
the world's second-largest economy「世界第2位の経済大国」はChina「中国」の言い換えです。英文ニュースでは、同じ単語の繰り返しで単調になることを避けるため、別の表現に置き換えて説明を加えていくことがよくあります。
the Tiananmen Square incidentは、1989年に起きた「天安門事件」のことです。中国の民主化を求める学生を中心とする抗議者たちを人民解放軍が武力で制圧し、中国が世界的に批判を浴びました。
rowにはいくつかの意味がありますが、ここでは「口論、騒動」などの意味で、trade rowはtrade dispute「貿易紛争」を言い換えています。
capital investmentは「設備投資」ですが、このcapitalは生産能力という意味の「資本」です。生産能力に投資すること、つまり「設備投資」と同じです。
manufacturing industryは「製造業」です。運輸業、金融業、建設業、サービス業などの「非製造業」は、経済統計では non-manufacturing industryやnon-manufacturersなどと表せます。
ここでのin the meantimeは「その一方で」で、話題を転換する際によく使われる表現です。この文脈では、同じ意味を1語で表すmeanwhileを使うこともできます。
tighten one's purse stringsは「財布のひもを締める」で、転じて「支出を抑える」例えとしてよく用いられる表現です。purse stringは文字どおりには「財布のひも」ですが、比喩的に「家計、財政」などを指し、この意味ではpurse stringsと複数形で使います。
swine feverは「豚コレラ」と訳されます。swineは「豚」のことで、平易なpigよりも専門的な用語として使われます。動物を表す英語には、ほかにも同じような例があります。「犬」には、dogに対してcanine「イヌ科の(動物)、犬のような」という単語があり、猫には、catに対してfeline「ネコ科の(動物)、猫のような」という単語があります。
affordableは「(価格が)手ごろである、無理のない」という形容詞で、less-affordableは「より手の届かない価格の」という意味です。
stapleは、名詞で「主食となる食物、必需食料品、主要産物」、形容詞で「主要な、(食べ物が)なくてはならない、欠かせない」という意味です。staple foodと言えば「主食」です。
phaseには「段階、局面、様相」などの意味があります。
ここでのsignは「署名する」で、sign a dealは「合意(文書)に署名する」です。
remainは後ろに補語をとって、「~のままである」という状態を指します。in place「実施されて」が補語にあたるため、remain in placeは「維持されたままである」です。
prospectは「見通し」です、物理的な「見晴らし、眺望」を指す場合もあれば、本文のように、将来の「見込み、見通し」などの意味で使われることもあります。
murkyは「よどんだ、濁った、先を見通せない」という形容詞です。