2020年2月18日(火)
トランプ大統領 一般教書演説
TRUMP TOUTS ACHIEVEMENTS IN ELECTION YEAR
英語タイトルのtoutという動詞には「~を大々的に宣伝する」という意味があり、TRUMP TOUTS ACHIEVEMENTS IN ELECTION YEARは「トランプ大統領、選挙の年に成果を大いにうたう」となります。
今回は、アメリカ議会で行われた一般教書演説に関するニュースです。今年秋の大統領選を前に、トランプ大統領はどのような成果を力説したでしょうか。また共和党と民主党の対立は、どのような形で浮き彫りになったでしょうか。こうした点に注意して、最新のアメリカ政治情勢について見ていきましょう。
The theme of the address was "the great American comeback." Trump stressed the economic achievements of his administration.
(Donald Trump / U.S. President)
"In just three short years, we have shattered the mentality of American decline, and we have rejected the downsizing of America's destiny."
The occasion was overshadowed at times by partisan divisions. After entering the chamber, Trump denied a handshake to top Democrat Nancy Pelosi. She responded later by tearing up a copy of his speech.
In their official response to the State of the Union, the Democrats emphasized their own goals. They also mentioned Trump's impeachment on charges of abuse of power and obstruction of Congress.
センテンスごとに学ぶ
the State of the Union addressは「一般教書演説」と訳されます。このstateは「状況、状態」を表し、the Unionは南北戦争があった1860年代当時の北軍に代表されるアメリカ合衆国が語源となっていますが、現在でもアメリカという統一国家を象徴的に語る場合に使われる単語です。つまり、the State of the Unionは「国が置かれた状況」という意味で、国家の現状について大統領が報告するとともに、主要な政治課題を説明することから「一般教書演説」と呼ばれています。
addressは「演説」で、speechよりも格式ばった単語です。
Congressはアメリカにおける「連邦議会」です。国によって議会の呼び方はさまざまで、英国の議会にはParliament、日本の国会にはDietという単語が使われています。
the annual speech「年次演説」は、the State of the Union address「一般教書演説」を言い換えたものです。
stakesは「賭け」、high stakesは「大きな賭け」で、ここでは形容詞high-stakes「いちかばちかの」として使われ、今年秋の大統領選挙がアメリカの国運を占う重要な選挙となることを表現しています。
seekは「目指す、求める」で、second termは「(大統領としての)2期目」です。アメリカ大統領の任期は4年で、最大2期8年です。
themeは、日本語では「テーマ」と呼ばれますが、意味は「主題」です。
comebackは、come back「帰ってくる、戻ってくる、復活する」という句動詞が名詞化したものです。
stressは「強調する」という動詞です。
economicは「経済の、経済に関する」という形容詞で、混同しやすいのがeconomical「安価な、経済的な」です。
administrationは「政権」で、his administrationはトランプ政権を指しています。
トランプ大統領の一般教書演説の一節です。
shatterは「打ち砕く、粉々にする、台なしにする」などの激しい意味を持つ動詞です。
mentalityは、最近は日本語でも「メンタリティー」や「メンタル」と呼ばれますが、「精神構造」や「考え方」という意味です。
ここでのdeclineは「衰退」で、文の後半にあるdownsizing「縮小」と同じ内容を示しています。
occasionは日本語で捉えにくい単語です。「時、場合、出来事」などに相当しますが、ここでは一般教書演説が行われた「場」や「機会」といった意味です。
at timesは「時に、時折」ですが、ここでは演説の「随所で」としています。
partisanは「党派の」で、divisionは「対立、分断」です。トランプ大統領が率いる与党共和党と、野党民主党の政治的対立が深まっていることを示した表現です。
chamberは、演説が行われた「議場」です。
denyは「否定する」と訳されることが多いのですが、ここでは「断る、拒絶する」という意味で使われています。
Nancy Pelosi(ナンシー・ペロシ氏)は、野党民主党に所属する、下院議長を務める大物議員です。
tear up ...、またはtear ... upは「~を破る、引き裂く」という句動詞です。
与野党トップによる怒りの応酬は、皮肉にも今回の一般教書演説で最もメディアに報じられた場面となりました。
officialとあるのは、ペロシ氏が原稿を破り捨てたことに対比させて「公式の」反応ということです。
responseは、名詞で「反応、返答、回答」などを指します。動詞はセンテンス7に出てくるrespondです。
the Democratsは「民主党議員」を指しますが、集合的に「民主党」としています。
emphasizeは「強調する」で、センテンス3のstressと同様の意味で使われています。
mentionは「言及する」です。日本人学習者が使い方を間違えやすい動詞で、「~について言及する」と言うときは、目的語をとる他動詞なので前置詞は不要です。
impeachmentは「弾劾」、abuse of powerは「権力乱用」、obstructionは「妨害」です。
具体的には、トランプ大統領の「ウクライナ疑惑」を追及する下院多数派の民主党が進める調査を、大統領の職権を用いて妨害しようとしたという疑いです。トランプ大統領は、一般教書演説でこのことには触れませんでした。